2020年 7月 1日 「6.2.4 量化の論理法則」 を読む >> 目次に もどる


 本節は、単項の量化 (「6.1.1 単称化と存在化」) を 「関係 (二項関係)」 に拡大して、「関係」 の量化の論理法則を記述しています。「関係」 の量化の論理法則は、「いざない」 150ページ の図に一覧表示されています (図 6-3)。一覧表示された図をみたら、なんだか難しそうで、丸暗記しなければならないのかなあと思うかもしれないのですが、そんなことはない──「関係」の論理法則は、からくり を知っていれば、すごく簡単です。その からくり を本 エッセー で記述しておきます。からくり を説明する前に、「全称ならば単称、単称ならば存在」 という法則を思い起こしてください、それを論理式で記述すれば以下のようになります。

    ∀xf(x) → f(a) → ∃xf(x).

 この法則を 「関係」(∀x∀y f(x, y)) に適用します。

    1. ∀x∀y f(x, y) → f(a, b). [ 全称の単称化 ]

    2. f(a, b) → ∃x∃y f(x, y). [ 単称の存在化 ]

 
 ∀x∀y f(x, y) について、項 x, y に対して、それぞれ 「全称ならば単称、単称ならば存在」 を適用してみましょう。

 先ず、全称 x を単称化します。

    ∀x∀y f(x, y) → ∀y f(a, y).

 次に、単称 a を存在化します。

    ∀y f(a, y) → ∃x∀y f(x, y).

 同様にして、全称 y を単称化します。

    ∃x∀y f(x, y) → ∃x f(x, b).

 単称 b を存在化します。

    ∃x f(x, b) → ∃x∃y f(x, y)

 
 全称 y についても同じように演算をします。

    ∀x∀y f(x, y) → ∀x f(x, b) → ∀x∃y f(x, y) → ∃y f(a, y) → ∃x∃y f(x, y).
         (全称 y の単称化)(単称 y の存在化)(全称 x の単称化)(単称 x の存在化)

 
 以上のように、「全称の単称化」「単称の存在化」 さえ わかれば、「いざない」 150ページ の図 (「量化の論理法則」 の一覧表示) を簡単に わかるでしょう。

 ここで注目してほしい点は、上記の法則は いずれも 「全称ならば単称、単称ならば存在」 という法則を適用しているということです。したがって、「全称ならば単称、単称ならば存在」 ということだけを覚えていればいいでしょう──この法則は、直感的に当然といえば当然なのですが、われわれの思考 (思考過程) を形式化する 「論理」 では、直感的に当たり前のことを当たり前として見過ごすことをしない、それが 「論理」 というものです。 □

 




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