2020年 9月 1日 「7.1.3 構造(structure)」 を読む >> 目次に もどる


 「構造」 というのは、日常の用法では なんらかの材料を使って それらを組み立てて構成された全体のことですが、数学では集合の元 (element、要素) のあいだに相互関係を導入した考えかたのことを云います。集合 (セット) というのは、以前に述べたように、元どうしの関係を無視して、元が集まった モノ を云います。それらの元に対して無矛盾な規則 (公理系) を適用して 相互関係を打ち立てれば、「構造」 をつくることになります。「構造」 という考えかたは、ブルバキ が導入したそうです。ブルバキ は、(数学上の)「構造」 を次の 3つに分類しました──

    1. 代数的構造

    2. 順序的構造

    3. 位相的構造

 これらの構造が どういうものであるかは 「いざない」 を読んでください (あるいは、「いざない」 を読まなくてもいい [ 笑 ]、さしあたり 代数・順序・位相の大まかな考えかた [ すなわち、加減乗除・大小・遠近 ] さえ知っていればいい)。これらの分類は あくまで大まかな範疇であって、或る一つの構造が上記の 3つのうちのどれかに [ どれかにしか ] あてはまらないという訳ではなく、2つ以上に あてはまることもあります──たとえば、実数のように、加減乗除の代数的構造と、a < b のような順序的構造と、2点の遠近のような位相的構造を兼ね備えていることもあります。いずれにしても、ここで最も大切なことは、「構造 (数学的構造)」 というのは、なんらかの集合を対象にして、無矛盾な 「生成規則」(演算規則) を適用して作られる、ということです(*)

 ちなみに、モデル TM は、命題を扱っているので──現実的事態を写像した集合に対しての命題を扱っているので──、基本的には順序的構造です。そして、当然ながら、(妥当な)「構造」 を作るためには、(無矛盾の)「生成規則」 (演算規則) を示さなければならない。モデル TM は その構造を作るための 「文法」(「関係」 の生成規則) の体系です。すなわち、モデル TM は、現実的事態を写像する [ 順序的構造を構成する ] 規則群なのです。

 
(*) 「生成規則」を作る人は、「論理」 そのものを無視することはできない。すなわち、彼が作る規則 (公理系) のなかに内部矛盾があることは許されない [ 無矛盾でなければならない」。理論を作るための前提 (公理) として 「どんな前提を選ぶか」 は自由だけれど、どんな天才的数学者でも 「論理規則」 を無視することは許されない。

 




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