2020年11月 1日 「7.2.3 順序位相 (稠密性と完備性)」 を読む >> 目次に もどる


 「稠密性」 という語は、集合論の書物には必ず出てくる語ですが、「いざない」 の本文のなかで述べているように、私は集合論を学習しはじめた当初 皆目 意味がわからなかった (把握することができなかった)。この語の意味を掴むには、先に 「完備性」 の語が意味していることを把握したほうがいいようです。

 「完備性 (completeness)」 とは、順序構造において、範囲が限られた [ 有界の ] n のなかで収束できること──すなわち、a ≦ n ≦ b というふうに下限・上限があるということ──を云います。この語は、「理論の完備性」 (たとえば、コッド 関係 モデル の 「relational completeness」) という言いかたをします──その証明法は、ゲーデル の定理 [ 不完全性定理 ] に準じます。モデル TM の 「完備性」 については、それを厳正に証明したことがないのですが、大雑把に言えば、モデル TM は Event 概念を基軸にした順序構造であって、かつ その構造のなかで使用される 「関係」 文法が無矛盾なので、「完備性」 を実現しているかなと思っています。

 「稠密性 (density)」 とは、位相空間 S の部分集合 M の閉包 M ──すなわち、M の内部と境界──が S に一致することを云います。すなわち、「間隔が開いていない」 ということ。コッド 関係 モデル も モデル TM も、現実世界 (モデル 化される事業) は、すべて記号化されていることを前提にしています。モデル TM でいえば、対象領域 (事業) において、取引のない管理はないし、管理のない取引はない、言い替えれば、事業過程は管理過程に写像されているという前提に立って、管理過程で使われている ことば を記号列として見做して、その記号列に対して、「関係」 文法を適用します。

 そして、「稠密性と完備性」 は、全順序集合が 「連結」 であることの条件です。 □

 




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