2021年10月15日 | 「11.3 特徴関数」 を読む | >> 目次に もどる |
N を自然数の全体として、集合 S ⊆ N に対して、(x1,・・・, xn) ∈ S のとき 0 として、そうでないとき 1 を対応させる関数 Cp(x1,・・・, xn) を S の 「特徴関数 (characteristic function、あるいは特性関数)」 と云います。簡単に言えば、S の元について 「並び (値の大小関係)」 が成立して真となる関数 [ 原始帰納的関数 ] ということ。ちなみに、原始帰納的関数は、ほとんどの関数をふくんでいて、コンピュータ で扱う関数のほとんどが原始帰納的関数であるとのこと──ただし、原始帰納的関数は 「計算可能」 なすべての関数をふくんでいる訳ではないそうです、たとえば アッケルマン 関数は原始帰納的関数ではないとのこと。こういう関数論の詳細は、私のような数学の シロート には 皆目 わからないので、私は数学の入門書から記述を借用しているだけです (苦笑)。
「特徴関数」(の考えかた) は、モデル TM の改良に多大な貢献をしました。 T字形 ER法から TM へ変貌していく過程において私を いちばん悩ました問題が entity を 「resource と event」 というふうに意味論的に二分割した点でした── TM は 「構文論が先で、意味論は後」 という数学的接近法をとっているので、構文論のなかに 「resource と event」 という意味論的概念をT字形 ER法からそのまま継承することは モデル として適切ではないのではないかと悩んでいました (ちなみに、TM では entity という語を使わなくなったので注意を促しておきます)。その悩みを消し去ってくれたのが、「特徴関数」 だったのです──「特徴関数」 の他にも、クラス および 「ツォルン の補題」 を流用すれば、「resource と event」 という概念を導入しても齟齬はないことがわかった。或る範囲 M (事業領域と思っていい) について、「特徴関数」 を考えます── E ⊂ M に対して (⊆ ではないことに注意してください)、(x1,・・・, xn) ∈ E のとき 1 で、かつ (x1,・・・, xn) については 「ツォルン の補題」 に従い最小値をもつとして、値の大小関係で自然数 N と対応できる 「項」f (x) を考えれば、f (x) を 「日付」 を生成条件とする 「event (出来事、行為、取引)」 とみなすことができる。すなわち、Cp(x1,・・・, xn) を 「event」 が時系列 (値 [ 日付 ] の大小関係) に並んだ関数とみなすことができる。そして、E の補集合 E' ⊂ M の外点 y を考えて、特徴関数 Cpに加算してみる── Cp(x1,・・・, xn ∨ y). 具体的に云えば、(受注、出荷、請求 ∨ 従業員)──明らかに、この関数は原始帰納的関数ではなくなる。とすれば、E ∨ E'(排中律)を使って (E ∨ E' ⊆ M)、E の 「特徴関数」 が成立すれば、法則型推論を定式化できる (その法則型推論が TM の 「関係」 文法なのです)。 上述したように、「特徴関数」 が TM の 「関係」 文法の基底になっています。それがゆえに、TM は法則型推論 モデル なのです。T字形 ER法から始まった技術だったのですが、思えば遠くに来ました。私は 「数学基礎論」 の学習を続けています、そして 今 私の頭には TM4.0の構想が浮かんでいます。その構想が具体化できるのは いつの日になるのか想像できないけれど、百尺竿頭進一歩。 □ |
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