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2007年 3月16日 補遺 |
TH さん、きょうは、(「問題意識」 を使って感知された テーマ に関する) 資料の集めかたについて、お話しましょう。 資料の集めかたには、以下の 5つがあります。
(1) 百科事典 (あるいは、それぞれの専門領域の辞書・事典) を使って、テーマ の関連項目などを調べる。
最初に、やるべきことは、(いきなり文献探しをしないで、) 百科事典 (あるいは、それぞれの専門領域の辞書・事典) を使って、テーマ に関与する項目を調べて、テーマ に関与する領域の アウトライン を掴むことが大切です(「佐藤正美の問わず語り」 のなかで綴った 「CD-ROM 版の百科事典を使う」 を参考にしてください)。 ちなみに、それぞれの専門領域の辞書・事典には、参考文献を記載していることがあるので、それらの参考文献は 「基本中の基本」 の文献なので、読むべき文献の候補にしてください。
さて、入手する情報は 「最新の (新鮮な)」 情報がいいでしょうから、まず、書店に行って、調査したい領域の書物 (ただし、入門書) を 3冊から 5冊ほど買います。出版年度が比較的最新の入門書を選んでください。
(1) 参考文献が豊富に記載されている (章立ての最後や本の最後に一覧表示されている)。 (2) は絶対にそうでなければならないというのではなくて、コメント が綴られていれば、どの文献を読めば良いか、という指針が得られるでしょう。そして、大切な点は、とりあえず、この時点で--入門書を 3冊から 5冊ほど購入した時点で--文献探しを一時休止する、という点です。というのは、まず、調べたい テーマ が関与している領域の全貌を知らなければ、文献探しをさらに進めても的外れな文献を収集することになって時間の無駄に終わるからです。
次にやることは、購入した入門書を全て読むことです。
(1) 主要概念 そして、それらの書物を全て読み終わったら、それらの書物のなかから、ノート を作成するための 「底本」 を一冊きめて、ノート を作成します。「底本」 を使って ノート を作成したら、「底本」 以外の書物から得た情報を ノート に、順次、付加していきます。ノート を作成している段階で、入門書のなかに記載されている参考文献のなかから、次の読書として、どれを読めばよいか、という点がはっきりしてくるでしょう。ノート の作成が終わったら、参考文献のなかから、次に読まなければならない (購入すべき) 文献を選びます。
さて、調査 テーマ に関与する領域の体系が、ほぼ、把握できたので、(参考文献のなかから読むべき書物を インターネット を使って書店に注文してから、) 今度は、いっそう、丁寧な文献調査をします。まず、インターネット を使って--弊社の ホームページ の 「インターネット・イエローページ」 を使って、国立国会図書館を選び--、国立国会図書館の ホームページ のなかで、「件名」 検索をして、テーマ に関係する文献を調べてください。
さて、さらなる文献を調査中に、(書物を注文していた書店から) 注文した書物が既に絶版になっている通知が届いたら、それらの書物を古本屋で探してください (弊社 ホームページ の 「インターネット・イエローページ」 のなかの 「書籍・文献」 を使ってください)。探している書物が古本屋にもなければ、図書館から借りるしかない。
以上の文献探しが終われば、いよいよ、入手した参考文献を読破しなければならない。 |
[ 補遺 ] (2007年 3月16日)
図書館に所蔵されている文献を デジタル 化する プロジェクト が進められているそうですが、もし、それらの デジタル 化された文献を インターネット で使用できるようになれば、資料を集める労役は極めて軽減されるでしょうね。
ただし、古本店が送ってくる文献目録のなかに記載されている書物が、すべて、ウェッブ に記載されている訳ではないので、文献目録にも目を通さなければならない作業は、いまも、省略することはできない。 ウィトゲンシュタイン 氏は、ほとんど、書物を読まなかったそうです。かれのような天才は、書物を多量に読まなくても、新たな着想を得ることができるでしょうが、われわれ凡人は、新たな着想を得るためには、仕事の起点として、まず、良質の資料を 多数 集めることが大切でしょうね。 私は、専門的な研究者ではないので、学術論文の執筆のために資料を読むことがないのですが、それでも、仕事で使う技術を考えるために、一般の読書子として、書物を数多く読んできました。そして、私は、一般向けの書物を いくつか執筆してきました。一般向けの書物であっても、それらを執筆する際、私は、哲学・記号論理学・数学 (数学基礎論)・宗教に関して、良質の資料を集めて読んできたつもりです。資料を集める コツ は、まず、入門書を数冊 読んで、学習領域の体系を掴んだら、師となる人物を一人 選ぶことです。荻生狙徠は、「答問集」 のなかで、以下のように述べています。(参考 1) 万事、その道を論じるには、まず その道を行った人を論じるのが早道です。 私も、そういう やりかた をしてきました。哲学では ウィトゲンシュタイン、数学では ゲーデル 、宗教では 道元禅師を師としてきました。そして、かれらを起点として、次第に (芋蔓式に)、学習領域を拡大してきた次第です。 そして、一般の読書子であれば、書物を広く読むことが大切でしょう。すなわち、さまざまな領域の書物を数多く読んだほうが良いでしょう。荻生狙徠 曰く、(参考 2)
私は それまでに、できるだけ広く書物を見ておいたので、右のように経書の本文のみを 本 ホームページ の 「読書案内」 を ご覧いただければ、私の言ったことを ご理解いただけるでしょう。ただし、私は、いわゆる 「理系」 を--数学基礎論の領域を除いて--ほとんど、学習していないことを告白しておきます。私の学習は、どうも、「文系」 に偏っているようです。 (参考 2) 同書、349 ページ。引用した訳文は、前野直彬 氏の訳文である。 |
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佐藤正美の問わず語り |