思想の花びら 2006年10月 1日


 ●  サント・ブーヴ (文芸評論家) のことば

  詩に対する嗜好ぐらい、異説が多くて、不確定なものは少ない。如何なる時代の青年詩人たちでも、「われわれの詩が最も美しい」 と言っているが、これは 「私の恋人が最も美しい女だ」 と言っているのと同じことだ。

 



 ●  古今和歌集 のことば

  世の中にある人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて、いひいだせるなり。花になく鶯、水に住むかはづの声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける。力をも入れずして天地 (あめつち) を動かし、目に見えぬ鬼神 (おにがみ) をもあはれと思はせ、男女のなかをもやはらげ、猛きもののふの心もなぐさむるは、歌なり。

 


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