思想の花びら | 2012年 6月 1日 |
● ヴァレリー (詩人) のことば
真の批評家の目的は、作者がじぶんに向っていかなる問題を提出しているかを見きわめ、且つ作者がその問題を解決しているか否かを探求することであるべきだ。
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● 亀井勝一郎 (批評家) のことば
人間が一個の人間として形成されるのは、ただ自分自身の力だけに基くのではない。必ず自己を形成させてくれるところの外部の原因というものがある。その原因の中で最も直接性を帯びるのは、自分の先生とか、先輩とか、友人とか、仲間とかいった具体的で身近な人間関係であり、そこに成立する邂逅である。多くの人は、思い出の中に必ずこうした意味での邂逅の思い出をもっているにちがいない。思い出とは元来そういうもので、それがその人の生涯に深い痕跡を残すのである。しかし生涯のいかなる時期に誰と出会うかということは偶然である。こういう人間に出会いたいと思っても出会うことが出来ない。またふとしたはずみに、自分の生涯の師とも仰ぐほどの人物に出会うこともある。友人の場合も同様だ。だから心と心との結びつきを促すような人間関係の成立というものは、強烈な印象を与えるものである。即ち思い出となる。
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