思想の花びら 2018年 9月 1日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  アトム もまた美しい仮説だ、真の科学に準じた システム のなかには、何にたいしても内部というようなものはない、なにかのなかに収容された物とかいうようなものはない、すべてが外部の関係だ、ということをこの仮説は正しく説明している。大きさも アトム となんの関係もない、アトム という観念によって、その内部には、およそ考えられるものが何一つないそういう物体が簡単に設けられたのである。それでも諸君は、アトム はあるかないかとたずねるだろうか。アトム の見せ物小屋に行ってみたいか。それならいっしょに赤道と子午線をみせてもらうとよろしい。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  平生私は出来るだけおだやかに勉学してゐたい気持でゐるが、かういふ時勢になれば、腹に据ゑかねることも二三はある。それが私の狭量の致すところではないか、或は自分の小さな野心のためではないか、と種々思ひ惑ふが故に、夢殿まで赴き救世観音を拝しその仏意をうかゞふのである。これが私の為しうるわづかな隠遁である。

 


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