思想の花びら 2019年 6月 1日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  暇なときに人々が出会うと、めいめいの考えを交換するものだが、この交換はいってみれば、既知の諸公式によっておこなわれるのであって、精神はたかだか言葉を楽しんでいるだけだ、音楽の変調でも楽しむように、意外な音でも聞こえてこなければべつにおもしろいことはないといったふうをしている。(略) 精神がこれに反逆してみたところで、結局不毛な戦いに終わる。(略) 論戦に勝つことによってなんらかの真理が樹立された例はかつてなかった、そんなことがあったと信じるのは子供である。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  他に先んじて、己の裡に神性あるひは仏性を感受したといふ悦びが、人間の不安定からの韜晦をもたらしたとすればどうであるか。(略) 自分の悲惨だけは救はれたやうに錯覚する。そして一つの教にすがりつき、そこから他人を非常に至らぬものとして攻撃し或は説教するのである。

 


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