思想の花びら 2019年 8月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  ゲーテ が メフィストフェレス に、「ぶどう酒はぶどうの実からできる、ぶどうの実はぶどうの樹からできる、ぶどうの樹は木だ、だからぶどう酒は木からできる」 と言わせたのは偶然ではない。これがあらゆる魔法の主題なのだ。習慣的な信仰はむしろ動物のもので、語られた証明こそ人間的な信仰なのである。原始人の奇怪な迷信の数々は、充分に研究されているが、みな、軽卒な帰納法に近いよりむしろ抽象的な演繹的な神学に似ているのである。あらゆる魔術は一種の弁証法だ。だからあらゆる弁証法が魔術だとしても驚くにはあたらないのである。(略)
  形而上学あるいは神学の名のもとによばれているものの、最も豊富な感動的な不明瞭な言語を呼び集めてたくみにおこなう推論の力を考えてもらいたい。こういうものに対しては、純粋な論理の正確な研究と数学者の証明に関する注意深い反省がいちばんものを言うのだ。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  昂揚した刹那の決意は、気分として空想化され、或は 「道徳」 として形式化され易い。そして途方もない極限の言葉だけをもてあそぶ。

 


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