思想の花びら | 2020年 3月15日 |
● アラン (哲学者) のことば
主観などというものは、正確な分析によって、とっくり見こしていなければならなかったものだ。それをせずになにか巫女の霊感のようなものを天才のうちに求めるのは要するに一つの メカニスム、さらにもう一つの物を主観のうちに捜すことだ。人間は自省すると同時に、正しく物を考えられるものではない。文筆の奴隷は、つくりたいと思う作品よって、おのれを知ろうとしがちなものだ。芸術家は、できあがった作品のみによっておのれを知る。そしてまた次の作品におどりかかる者は幸福である。
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● 亀井勝一郎 (批評家) のことば
批評の原理は様々あるにしても決定するのは愛着といふことである。そして一作家の全集をよみ、その出発、成育、成熟、死を凝視し、そこにその作家の肖像を再現しうるならば、それだけでも大へんなことであり、芸術鑑賞を深めるにも拡大するにも、畢竟はかういふ点から出発する以外にない。個人的な恋愛の深さから、世の多くの愛の深さを知るやうに、一個の美術品、一つの作品、それへの愛着からすべては発する筈だと私は考へてゐる。
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