思想の花びら | 2020年12月15日 |
● アラン (哲学者) のことば
だから、僕はおのれをあまりきらいすぎてはいけないと忠告するのだ。人間ぎらいが自己嫌悪までいく例は、一般に考えられているよりはるかに多いのである。僕らは他人を裁こうとすればするほど、自分自身の態度や言葉や行為につまずくものだ。言わなければよかったと後悔するような言葉のなかに、熟考された言葉がいったいどれだけあるか。そんな言葉をあとになって詮議だてするからいけないのだ。詮議だてして自分の心のなかに、ありもしない悪意だとか、よくない性質だとかを探ろうとする、いよいよいけない。諸君をしばるものはなに一つない、諸君の欠点も美点もありはせぬ。要するに、人間は元来親切なものだと信ずる間違いが一つ、意地の悪いものだと信じる間違いが一つ、この二つの誤りはたがいに手を取り合ったものだ。
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● 亀井勝一郎 (批評家) のことば
私は十年毎に、その十年間の自分をかへりみて、精神の自伝といつたものを書くことにしてゐる。さゝやかではあるがそれは私の道標である。同時に、自分の尊敬する人物の人間像を再現することを、主要な仕事としてきたのである。 |
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