思想の花びら 2022年 8月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  要するに、こういう金持の目じるしのようなそらぞらしい装飾物は、軽蔑されるよりむしろ羨望の目でながめられている、(略) しかし、僕は、虚栄心や人に喜ばれようとする迷いにまっこうから反対する努力には多くを期待しない、むしろ ダイヤモンド や レース をながめて失われた パン を思う聡明なまなざしに期待する。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  「なんじら人を裁くな」──これは、キリスト 教の厳粛な原則である。神の律法である。普通の法律では人間は必ず人間を裁かなければならない。実際に犯罪が起ったとき、刑罰をもって社会の秩序を維持しなければならないのは人間社会の約束である。しかしさらに一歩を進めて、その犯罪の起った根本の理由をたずね、またそれを裁く自分自身の心を反省してみたとき、人間として人間を裁くことがいかに困難であるかは直ちにわかると思う。どのように明確な証拠があっても、犯罪者と裁判官とのあいだには、微妙な心の葛藤は絶えないのではないか。罪と罰することへの懐疑は去らないのではないか。少なくとも裁判が人間性をおびているかぎりは。

 


  << もどる HOME すすむ >>
  思想の花びら