2003年11月 1日 作成 「基準編第9章 (T字形ER手法の概念)」 を読む >> 目次に もどる
2006年 8月 1日 更新  




 第 9章では、T字形 ER手法の基礎概念を まとめてみた。
 T字形ER手法の「技術」 に関しては、すでに、「論理データベース論考」 の前に出版した べつの著作 (「T字形ER データベース設計技法」) のなかで述べているので、第 9章では、(技術の具体的な適用例を示すのではなくて) 技術の前提になっている理論を検討している。

 第 9章は ページ 数が少ないが、第 9章以前の章のなかで まとめてきた数学基礎論の理論を前提にして、T字形 ER手法が、それらの理論のなかから、どの理論を取り入れ、どの理論を拒否したのか、という点を記述している。

 「論理データベース論考」 を上梓した後、小生の考えかたも、若干、変わってきて、「論理データベース論考」 のなかに記述されている考えかたや まとめかたが、もう、古くなってしまった点もあるので、それらも修正あるいは訂正したい、と思う。まず、152ページおよび 153ページのなかで記述されている 「T字形ER手法の体系」 は、いまでは、違う まとめかたをしているので、修正したい。

 T字形 ER手法の体系は、基本技術に限っていえば、(本 ホームページのなかで記述されているが、) 現時点では、以下のような体系としている。

  (1) データ の認知
  (2) データ の類別
  (3) データ の関係
  (4) データ の周延
  (5) データ の多義

 そして、それらの基本技術以外に、拡張技術として、「みなし entity」 の技術がある。
 ちなみに、「T字形ER データベース 設計技法」では、「5つの技法」として、以下の技術を示しているが、T字形 ER手法のなかで使っている技術を単に並べただけであって--しかも、「繰り返し項目の排除」 が述べられていないので、網羅性がないし--、体系化されていないので、もう、以下の まとめかたを小生は使っていない。

   - identifier
   - resource と event
   - 対照表
   - 対応表
   - サブセット

 「T字形ER データベース 設計技法」 と 「論理 データベース 論考」 との間では、T字形ER手法の技術 自体は、なんら、変わっていないが、「論理 データベース 論考」 では、理論を検討して、T字形 ER手法の体系を整えた。

 今回は、まず、「論理データベース論考」 の出版後に変更した上述の体系を提示して、次回から、T字形 ER手法の理論を検討する。 □

 



[ 補遺 ] (2006年 8月 1日)

 3年前に、本 ページ では、以下の まとめかた を導入した。

  (1) データ の認知
  (2) データ の類別
  (3) データ の関係
  (4) データ の周延
  (5) データ の多義

 この まとめかた は、2005年に出版した 「赤本」 でも使われている。
 しかし、この まとめかた は、もう、古い。いまは、以下の まとめかた にしている。

  (1) 個体の認知
  (2) 個体の性質、関係の性質
  (3) 関係の文法
  (4) データ の周延
  (5) データ の多値

 最初の 2つのなかで、(「データ」 という言いかたを止めて、) 「個体」 という概念を導入した理由は、TM が、実体主義的な観点に立って、「もの」 語彙を認知しているからである。「関係の性質」 とは、「関係」 の対称性・非対称性を云う。

 「周延」 と 「多値」 に関して、「データ」 という言いかたを温存した理由は、実体主義的な観点に立って作られた 「構造」 を数学の 「集合論」 で検証しているからである。
 なお、「データ の多義」 を 「データ の多値」 に直した理由は、多価関数を ひとつにまとめて、さらに、「OR 関係」 と 「AND 関係」 として整理したからである。多価関数の 「OR 関係」 が 「多義」 であり、多価関数の 「AND 関係」 が (現象的には、) いわゆる 「HDR-DTL」 として起こる。

 





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