2004年 6月16日 作成 | 「基準編第11章 (順序対の妙)」 を読む | >> 目次に もどる |
2007年 3月16日 更新 |
T字形ER手法は、命題論理を基礎にして、体系を作ってある。
(1) モノ (entity) の形式は、「主語-述語 (S-P)」形式とする。 「resource」 には、「並び」 を前提にした意味はない。すなわち、R {部門, 従業員}であっても、R {従業員, 部門}であってもよい--いずれも、「配属」 という同じ意味を示す。
2つの 「resource」 は、1つの 「event」 (対照表) を形成する。
T字形 ER図を作成したあとで、「resource」 の対を再検討することは、興味深い作業である。
(1) 商品 entity がある。{商品番号、...} [ R ] 以下の構成では、事業の 「意味」 が違う。 1. 仕向地ごとに セールス する商品が事前にきまっている。
(1) 商品. 仕向地. 対照表 {商品番号(R)、仕向地コード(R)、...}. [ バリデーション・ルール ] 2. 仕向地ごとに運送する船が事前にきまっている。
(1) 船. 仕向地. 対照表 {船番号(R)、仕向地コード(R)、...}. [ バリデーション・ルール ] 3. 仕向地ごとに、セールス する商品および運送する船が事前にきまっている。
(1) 船. 仕向地. 対照表 {船番号(R)、仕向地コード(R)、...}. [ バリデーション・ルール ] 以上の 3つの例は、いずれの事態も、(2) の 「event」 が同じであるが、事業の 「意味」 は、全然、違っている点に注意されたい。 □ |
[ 補遺 ] (2007年 3月16日)
TM (T字形 ER手法) の 「関係文法」 は、数学の 「解析 (analysis)」 手続きを前提にして作られています。数学の 「解析」 とは、証明しなければならない対象 A が存在しているとき、A が成り立つためには、B1 が成り立たなければならないことと示し、さらに、B1 が成り立つためには、B2 が成り立たなければならないことを示すというふうに、以下のように、順次、対象を導出する手順です。 A → B1 → B2 → ... → Bn. そして、TM (T字形 ER手法) では、「既知の ことがら」 Bn として--すなわち、最小単位たる 「打ち止め」 として-- entity を考えています。 TMD (TM Diagram) の作図では、entity を起点にして、「解析」 の逆の道を辿ります。すなわち、TMD の作図は、entity を、まず、項 (term) にして、新たな項 (文) を作る手続きです。 TM の 「関係文法」 では、2項関係を前提にしていますので、「resource」 が複数あれば、それらの 「resource」 を どのように組めば、「有意味な」 文を構成できるかを考えなければならない。つまり、「有意味な」 構成 (事業の 「意味」 を示す構成) を作るために、組の順 (並び) を考えなければならないということです。その例を、本 エッセー では、以下の 3つの 「resource」 を使って示しました。
(1) 商品 entity がある。{商品番号、...} [ R ] TMD は、数学の 「解析」 手続きを前提にしていますから、以下のように考えれば、「resource」 の組を作りやすいでしょう。 「或る 『有意味な』 事態が起こるためには、『resource』 のどれとどれが前提とされていなければならないか」 以上に述べたことは、「いまの」 事態 (事業過程・管理過程) を記述するための作図法です。「いまの」 事態を 「正確に」 記述できるようになれば、さらに一歩を進めて、「resource」 どうしの 「新しい組」 を考えれば、事業過程の プロセス を組み替えたり、新しい プロセス を作ることができます。 (1) プロセス を組み替える。
生 地 { 生地コード、... }. 以下の構成が 「いまの」 事態とする。
{ 生地コード (R)、サイズ・コード (R) }. [ 「裁断」 を言及する。] 以下のように、「resource」 の組順を変えれば、プロセス を再編成することができます。
{ 生地コード (R)、カラー・コード (R) }. [ 「洗い」 を言及する。] (2) プロセス を新たに作る。 本 エッセー の例を使えば、以下の構成が 「いまの」 事態とする。
商 品 { 商品番号、... }.
{ 商品番号(R)、仕向地コード(R)、... }. [ バリデーション・ルール ] 以下のように、「resource」 の新たな組を導入すれば、新たな ビジネス・ルール を導入できる。
{ 商品番号(R)、仕向地 コード(R)、... }. [ バリデーション・ルール ] |
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