数学基礎論 (辞書) >> 目次 (テーマ ごと)


 

 ▼ 辞典

 ● 数学小辞典、矢野健太郎 編、共立出版

 ● 数学辞典 (第三版)、日本数学学会 編集、岩波書店

 ● 現代数学教育事典、遠山 啓 責任編集、明治図書

 ● 和英/英和 算数・数学 用語活用辞典、日本数学教育学会 編、東洋館出版社

 ● Oxford CONCISE DICTIONARY OF MATHEMATICS, Christopher Clapham
  [ 邦訳 ] 数学用語小辞典、芹沢正三 訳、講談社 BLUE BACKS

 

[ 読みかた ] (2005年12月16日)

 岩波書店版 「数学辞典」 は、いま、改訂版を編集中だそうです。岩波書店版 「数学辞典」 は、たまに参照しますが、ふだん使っている辞典は、「数学小辞典」 (矢野健太郎) です。

 ぼくは、数学の学習を集合論 (数学基礎論) に限っているので、数学を学習しているというよりも、どちらかと云えば、論理学を学習していると言ったほうが正確でしょうね。したがって、学習の範囲が限られているので、辞典を、たびたび、使うということが、まず、ない。そのために、岩波書店版 「数学辞典」 のような専門辞典は、たいがい、哲学辞典といっしょに使っていて、たとえば、「関係」 という概念が、哲学では、どのように考えられて、数学では、どのように考えられているのか ということを調べるために--大項目・中項目の概念を調べるために--使うのであって、知らない数学用語 (小項目) を 岩波書店版 「数学辞典」 で調べることは、まず、しない。小項目を調べるためには、「数学小辞典」 (矢野健太郎) を使っています。

 たとえば、「ヘ゜アノ の公理」 を 岩波版 「数学辞典」 と 矢野版 「数学小辞典」 で調べてみましょう。
 岩波版では、「ヘ゜アノ の公理」 は、単独項目として記載はない。矢野版では、以下のように説明されています。

   ---> (引用はじめ)

   ヘ゜アノ の公理 [ Peano's axiom ]  自然数を論理的に組み立てるには ふつう次の ヘ゜アノ の公理が基礎になる。
   すなわち、われわれが自然数とよんでいるものは次の五つの公理を満たすものの全体である。

   [ T ] 1 は自然数である。
   [ U ] 各自然数 x には、その後者と称する自然数 x' が一つ しかも ただ一つ対応する。
   [ V ] 自然数 x に対して x ≠ 1.
   [ W ] x = y ならば x = y.
   [ X ] S が自然数全体の集合の ある部分集合で、(@) 1 ∈ S、(A) x ∈ S ならば 必ず x = S である、
       という二条件を満たせば、実は S は自然数前提の集合である (これを数学的帰納法の公理という)。

   これら五つの公理から、自然数の性質が すべて論理的に導きだせる。

   ---> (引用おわり)

 
 以上に引用した説明は、数学的厳密性--数式を使った純学問的な定義--を犠牲にしていますが、数学基礎論の基本概念・基本技術を学習した人であれば、的確に理解しやすいでしょう。ちなみに、たまたま、頭に浮かんだ 「ヘ゜アノ の公理」 を例に使おうとしたのですが、岩波版が 「ヘ゜アノ の公理」 を記載していないのは謎ですね--たぶん、どこかに記載されているのでしょうが、すぐに探すことができないというは、数学の シロート である ぼくの調べかたが悪いのかもしれないですね。

 いっぽう、記号論理学や数学基礎論が、どういう体系になっているのか を調べようとすれば、岩波版が威力を示します。岩波版では、それらの研究領域を体系立てて コンハ゜クト に記述しています (基本的な参考文献も記載されています)。
 岩波版は大項目・中項目用として、矢野版は小項目用として使えば良いでしょう。なお、矢野版には、付録として 「ものの数え方」 が記述されているのですが、ぼくは重宝しています。たとえば、「文」、「帯 (おび)」、「位牌」、「豆腐」、「高野豆腐」、「机」、「手袋」、「鋏 (はさみ)」、「おかず (副食物)」、「羊羹 (ようかん)」 などの数えかたを、すぐに言えますか。正解は、それぞれ、「篇」、「条、筋」、「柱」、「丁」、「連」、「脚」、「足」、「挺」、「菜、汁」、「棹」です。どうして、高野豆腐を例にしたのかと言えば、ぼくが居酒屋で注文するからです (笑)--ただ、居酒屋で アルハ゛イト している若い子らには、全然、通じませんでしたが、、、(苦笑)。

 


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