2007年10月 1日 「理論編-2 構文論と意味論」 を読む >> 目次に もどる
2012年 9月 1日 補遺  


 数学上、「完全性」 を実現しているということは、「計算可能性 (証明可能性)」 を実現していることであり、「計算可能性 (証明可能性)」 とは、「第一階論理のなかで モデル が存在する」 ことと同値です。コッド 関係 モデル は、完全性が証明されています。そして、モデル は、以下の 2つの領域を考慮します。

 (1) 生成規則 (文法) を扱う領域
 (2) 指示規則 (モデル のなかの項と現実的事態との指示関係) を扱う領域

 (1) を構文論 (Syntax) と云い、(2) を意味論 (Semantics) と云います。
 数学ほどの厳正さを守らないとしても、少なくとも、「妥当な構造」 と 「真とされる値」 を配慮する モデル であれば──言い換えれば、なんらかの形で、ロジック を使うのであれば──、かならず、以上の 2つの規則を守らなければならないでしょう。なぜなら、「妥当な構造」 は、生成規則に従って構成され、「真とされる値」 は、指示規則に従って充足されるから。

 生成規則に従って実現される 「真」 を 「(導出的な) L-真」 と云い、指示規則に従って実現される 「真」 を 「(事実的な) F-真」 と云います。「L-真」 および 「F-真」 は、カルナップ 氏が提示した概念です。これらの 「真」 概念は、TMD (TM Diagram、T字形 ER図) を作成し推敲する際に──特に、推敲する際に──、極めて大切な役割を演じます。

 さて、TM (T字形 ER手法) は、前回述べたように、セマシオロジー 的な接近法に立って、論理的意味論の モデル として整えられました。したがって、生成規則と指示規則を示す モデル として整えてあります。TM を論理的意味論として整える際、私は、カルナップ 氏の説を参考にしました。そのために、TM の前提要件として、「理論編-2」 で、カルナップ 氏の説を まとめました。 □

 



[ 補遺 ] (2012年 9月 1日)

 数学的 モデル 論では、「構文論が先で、意味論は後」 です──すなわち、無矛盾な形式を (「論理」 に準じて) 構成して、その構造の中の変数に値を充足した時に 「真・偽」 を問うという手続きです。数学的意味論は、値の充足性 (真理条件) の験証を云います。そして、カルナップ 氏流に云えば、構文論上の無矛盾性が L-真、意味論上の真が F-真です。モデル のこういう手続きは、言い替えれば、「(論理的) 形式」 というものを (事態の) 「構成条件」 を明らかにする事であると考えています。そして、勿論、TM は、モデル である限りにおいて、この手続きを順守しています。





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