2008年 2月16日 | 「理論編-11 関係の論理」 を読む | >> 目次に もどる |
2013年 3月 1日 補遺 |
本編は、次編 (「理論編-12 関係の対称性・非対称性」) の前触れです。 「関係の対称性・非対称性」 を述べるために、数学上、「関係」 の基本概念を本編で まとめました。 「関係」 が、数学上、「直積」 の部分集合であって、「直積」 であれば、「並び」 が問われることを本編で確認しています。「関係の論理」 に関して、私は、シュレーダ の論文を直に読んだのではなくて、ゲオルク・クラウス の書物 (「記号論理学 (上・下)」) を読んで 「網羅的に」 基本概念を学習して──したがって、本編で言及しなかった 「関係」 の性質も多いのですが [ それらを、拙著 「論理 データベース 論考」 で記述していますが ]──、数学の セット 概念 (ZF の公理系) と対比しながら、まとめました。というのは、コッド 関係 モデル が使っている 「直積」 に対して、「並び」 が争点になることを本編では確認したかったから。 それと同時に、2項関係 f (x, y) の──2項関係に限らないで、多項関係を考えて良いのですが──「特殊な」 関係として 1項関係を考えれば──すなわち、1つの変数のみを扱えば──、「関係」 は 「性質」 を包摂する概念になって、「関係」 は 「主体」 をふくんだ上位概念になることも確認しています。この点は、前編 (「理論編-10 実体主義と関係主義」) を継承して、関係主義の観点に立った記述になっています。 コッド 関係 モデル では、セット は個々の属性値集合であって、それぞれの セット の直積 (整列集合) として、「主体」 を考えて、「主体」 が 「F-真」 である組 (tuple) を ソリューション としています。ただ、TM (T字形 ER手法の改良版) では、「関係 (生成規則)」 を考える前に、「主体 (指示規則)」 を考えるので、「関係」 は、「主体」 のあいだの規則になっている点に注意して下さい。それでも、「関係」 は、属性値集合に対して適用しようが主体集合に対して適用しようが、生成規則として、「並び」 が争点になる点は変わりないでしょう。 なお、現代では、「関係の論理」 は、述語論理のなかで扱われています。 □ |
[ 補遺 ] (2013年 3月 1日)
コッド 関係 モデル は、直積集合を使って、現実的事物を tuple として構成します。 R { s1 ∈ X1, s2 ∈ X2,・・・, sn ∈ Xn ∧ P (s1, s2,・・・, sn) }. たとえば、R { 受注番号、顧客番号、商品番号、受注日、・・・、契約番号、・・・ }. この1つの tuple を decompose して、幾つかの単独の 「モノ」 が作られます。第一正規形・第二正規形 (関数従属性)・第三正規形 (推移従属性) という順に、1つの tuple が decompose される。たとえば、「受注」 の第三正規形は、次の様になる。 R { 受注番号、顧客番号、商品番号、受注日、受注数 }. 第一正規形から第二正規形 (関数従属性) が decompose され、第二正規形から第三正規形 (推移従属性) が decompose される関係が 「包摂従属性」 であり、分割された tuple は、元の tuple の キー を継承する。 entity である = Df 認知番号を付与された対象である。
たとえば、「受注」 entity は、R { 受注番号、受注日、受注数 } となります。
┌─────────────────┐ │ 受注 │ ├────────┬────────┤ │受注番号 │受注日 │ │ │受注数 │ │ │ │ └────────┴────────┘この形式は、前回述べた様に、「主題 + 条件」 であって、条件は主題を形成します。この時点では、「受注」 には、顧客番号も商品番号も入ってこない。「情報」 としては不完全です (右側に 「条件」 は、「受注」 では、どういう事が記録されるか、ということを示しているだけです)。顧客番号と商品番号は、「受注」 に対して、「顧客」 と 「商品」 が関与したときに──関係を結んだときに──入ります。そのために、TM には、主題のあいだの関係に対して、「文法」 が用意されています。「関係」 の文法については、次回に述べます。 |
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