2009年 5月16日 | 「技術編-28 多値の 『選言 (OR)』 関係」 を読む | >> 目次にもどる |
2018年 3月 1日 補遺 |
「HDR-DTL」 構成を関数の観点で扱って──すなわち、ひとつの合成関数として扱って──具象 カテゴリー・ファンクター (言い換えれば、クラス 概念) で説明したほうが至極簡単であることに気づいた時期は、「論考」 を出版した後でした。そして、「多義 (多価関数において、値が排他的 「OR」 関係になる現象)」 と 「HDR-DTL (多価関数において、値が併存的 「AND」 関係になる現象)」 を 「多値関数」 の観点で統一的に説明した拙著が 「赤本」 です。言い換えれば、「多値」 が 「OR」 関係あるいは 「AND」 関係のいずれであるかという観点で整えました。すなわち、「赤本」 では、多値を以下の ふたつの クラス で考えるようになった次第です。
(1) MOR (多値の排他的選言関係)
実地の仕事では、MOR のことを 「MO」 と云い、MAND のことを 「MA」 と云うことが多い。
MOR の文法そのものは、「赤本」 103 ページ で例示したように簡単ですので、本 ページ で改めて補足説明するまでもないでしょう。
MOR について、ひとつだけ補足説明するならば、「上限」 の問題でしょうね。MOR が生じる現象に対して、「多値の配列 (いわゆる 「項の横持ち」) を排除して、正規形として一価関数の構成にする理由は、「上限」 が不明だからというふうに説明されることが多いようですが、そういう説明では モデル の構成要件 (前提) にそぐわない。たとえば、以下の構成を例にして考えてみましょう。
{ 従業員番号、従業員名称、・・・、部門 コード (R)、部門 コード (R)、・・・ }.
従業員が 「転部」 した履歴を記録する、とします。そのときに、部門 コード を いくつ定義すればいいのかわからない──すなわち、「上限」 がわからない──ので、実際に生じた事実を記録するように、以下の構成にする、というふうに説明されることが多いようです。
{ 従業員番号、従業員名称、・・・ }.
{ 従業員番号 (R)、部門 コード (R) }. の データ を 「並べる」 ために、なんらかの配慮がいるのですが、ここでは、争点に 直接 関与しないので省略しておきます。
さて、もし、「上限」 が不明だからというふうに説明するのであれば、「1年間の売上高を記録する構成」 の非妥当性を説明できないでしょう。
{ 売上高 (1月)、売上高 (2月)、・・・、売上高 (12月)}.
1年は 12ヶ月で構成されるので、「上限」 は 12月です──言い換えれば、13月はない。 |
[ 補遺 ] (2018年 3月 1日)
MA を いわゆる 「HDR-DTL」 という言いかたを辞めて、ファンクター (「関係」 の クラス) という言いかたにした理由は、「HDR-DTL」 では様々な ファンクター 構造を分析できないからです──その例は、「赤本」 の 202ページ から 205 ページ を参考にしてください(「応用編-23 1つの HDR と複数の DTL」 「応用編-24 DTL の DTL」) [ これらは本 ホームページ では割愛しています ]。勿論、それらの他にも種々な ファンクター 構造があります (私の client の実際の モデル に出ています)。だから、「HDR-DTL」 の パターン を覚えても──たとえば、受注 「HDR-DTL」、契約 「HDR-DTL」 など──、実際の事業を正確に分析できない危険性が高い。
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