2009年 9月16日 | 「実践編-3 T字形 ER図の作成手順」 を読む | >> 目次にもどる |
2018年 7月 1日 補遺 |
(1) 命題論理方式 (「情報仕訳」 法ともいう)
(1) は、データ の 「意味」 を初見で把握しなければならない コンサルタント 向きの やりかた で、(2) は、データ の 「意味」 を 或る程度 知っている社内 DA (Data Analyst) 向きの やりかた であると本編で述べていますが、最近──ここ数年のあいだ──、私は、セミナー で (1) しか指導しなくなりました。
その理由は、データ の 「意味」 を正確に把握するために、「文脈 (ひとつの まとまった情報単位)」 を 「解析」 の対象にしたほうがいいと判断したからです。ここで言う 「解析」 とは数学的な意味で使っています。すなわち、証明しなければならない対象 A が存在しているとき、A が成り立つためには、B1 が成り立たなければならないことを示し、さらに、B1 が成り立つためには、B2 が成り立たなければならないことを示すというふうに、以下のように、順次、対象を導出する手順です。
A → B1 → B2 → ... → Bn.
そして、A を、終いには、「既知の ことがら」 Bn に帰着する やりかた を 「解析」 と云います。そして、「関係」 を 「関数」 R (x, y) として翻訳すれば、x および y という変項は、関数 R ( ) のなかで付値されて 「意味」 をもつ、ということなので──言い換えれば、「存在する」 ということは、変項になり得ることであって──、指示対象は変動するので、「文の解釈」 から独立して対象を指示できる訳ではないのあって、「(対象の) 指示」 は、それぞれの 「解釈」 を免れる訳ではない、ということ。すなわち、「(対象の) 指示」 は、「枠組み」 の総体を前提にした全体論的な 「『解釈』 の内部 (from inside)」 からしか確定できないということです。関数 R ( ) を ひとつの 「情報」 として考えて、変数 x・y を データ 項目として考えればいいでしょう。この考えかたを私に教えてくれた人物が、ウィトゲンシュタイン氏・クワイン氏・デイヴィドソン氏・レーベンハイム氏・スコーレム氏らです。
TM では、命題論理方式 (「情報仕訳」 法) を使って、TM の文法に従って、まず、「個体と関係」 を構成します。この作業を 「Tentativ Modeling」 と呼んでいます。そして、いったん構成された構造を、「意味論 (現実的事態との対比において 「(モデル上の個体と現実的事態との) 指示」 を験証して モデル (TMD) を推敲する作業を 「Semantic Proofreading」 と呼んでいます。
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[ 補遺 ] (2018年 7月 1日)
「Tentativ Modeling」 と 「Semantic Proofreading」 という言いかたは、10年くらい前から使わなくなりました。それらの語に代わって、「L-真」 と 「F-真」 という語を使うようになりました。 「L-真」 とは、構文論上の概念であって、文法 (論理規則) に従って作られた無矛盾な構造を指し、「導出的な真」 のことです──「Logic で真とされる」 という意味です。「F-真」 とは、意味論上の概念であって、「事実」 と対比して一致することを云い、真とされる値が充足される 「事実的な真」 のことです──「Fact で真とされる」 という意味です。 L-真は、一つの事実に対して複数存在します。たとえば、自然数を例にして、「1」 を入力して 「3」 を出力する アルゴリズム を考えた場合、(足し算を前提にして) 「1 + 1 + 1」 という アルゴリズム を考えることもできれば、(掛け算を前提にして) 「1 × 3」 という アルゴリズム を考えることもできます。その 2つの アルゴリズム は、どちらかが間違っているという訳ではない── 2つとも正しい。一方、F-真は、ひとつしか存在しない──なぜなら、「事実」 は ひとつだから。 モデル は、「現実の形式的写像」 ですから、当然ながら L-真かつ F-真でなければならない。つまり、複数存在する L-真のなかから、ひとつだけ F-真となるものが決まるということです。 |
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