2001年 5月13日 作成 | タイプ 理論 (the theory of types) | >> 目次 (作成日順) |
2006年 7月16日 補遺 |
集合論が数学の基礎と見做されるなら、集合論の パラドックス は数学の危機をもたらすことになる。集合論の パラドックス (W ∈ W) を回避するために、20世紀初頭、「数学基礎論 (現代集合論の起点)」 が誕生する。 数学基礎論の源流には、以下の 3つの流派があった。
(1) 論理主義 (ラッセル に代表される考えかた) ラッセル の提示したやりかたが 「タイプ (type) 理論」 (the theory of types) である (ラッセル の提示した タイプ理論は 「分岐 タイプ理論」 と云うが、ラムゼー (Ramsey F.P.) は、それを簡素化して、「単純 タイプ理論」 にした)。 ラッセル の導入した タイプ理論を要約すれば、以下の 2点が主張である。
(1) モノ は、(以下に記述するように) いくつもの階層 (=型) から構成されている
タイプ 0 とは、個体 {a, b, c,...} をいう。 (2)代入規則として、タイプ N の 関数は、タイプ (N − 1) の対象を代入項とする。 したがって、「W ∈ W」 (同じ レベル の代入) は無意味となる (「タイプ 理論」 では W ∈{W} が正しい扱いとなる)。ちなみに、W = {W} が成立することもある。これを 「不動点」 という (--「不動点」 に関しては、いずれ、「ベーシックス」 のなかで記述する)。
数学者たちが、モノ を 「高次に (高階に) 構成された構築物」 と観る原点が、ここにある。 |
[ 補遺 ] (2006年 7月16日)
「型 (タイプ)」 の理論は、数学的に記述すれば、そうとうに難しい理論です。 ただ、数学を専門にしていないのであれば、ここに述べた 「考えかた」 さえ理解していれば充分でしょう。もし、厳密に学習したいのであれば、「型」 の理論を直接に読み下すのではなくて、PM の体系を学習すれば良いでしょう。ただ、「数学原理」 は大著なので--ページ 数が 1,000ページを超える--、専門家でないひとが読み通すことは無理でしょうね (小生も 「数学原理」 を読んでいない)。幸いに、「序論」 の邦訳が出版されているので、下記の 「序論」 を読めば、PM の根底にある考えかたは、数式を使って理解できます。
ホワイトヘッド・ラッセル 共著、岡本賢吾・戸田山和久・加地大介 共訳、 ウィトゲンシュタイン は、(記号論を 言語の 「意味」 の観点に立って考えて、) ラッセル の 「タイプ 理論」 を否認しました。そして、「真」 概念を検証する一般手続きとして、主選言標準形を使った 「真理値表」 を提示しました。 TM (T字形 ER手法) は、事業過程 (正確には、管理過程) のなかで使われている 「語-言語の 『意味』 を記述する構造」 を作る手法なので、ラッセル の タイプ理論を使わないで、ウィトゲンシュタイン の考えかたを基底にしました。私は、当初 (10数年前に)、ウィトゲンシュタイン の前期哲学 (「論理哲学論考」) を起点にして、TM を作りましたが、あとで (2000年に)、かれの後期哲学 (「哲学探究」) を使って、TM の前提を転回しました。 ちなみに、「不動点」 は、ブラウワー が提示した考えかたです。 |
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