2001年 8月31日 作成 | 英語 (全般): 入門編 | >> 目次 (作成日順) |
2006年 2月16日 更新 |
文中、★ を附与してある文献は 「お薦め」 の意味です。 |
▼ 英語の学びかたについては、以下の本を読んで下さい。 ● 私はこうして英語を学んだ、松本道弘、実日新書 (★) ● 英語の習得法、最所 フミ、研究社出版 (★) ● 外国語の学び方、渡辺照宏、岩波新書 ● 英語研究者のために、田中菊雄、講談社学術文庫 ● 社会で役立つ 英語習得の テクニック、篠田義明、研究社出版 ● 英語の辞書を使いこなす、笠島準一、講談社現代新書 ● こんなこともできる 英英辞典活用 マニュアル、盤崎弘貞、大修館書店 |
[ 読みかた ] (2006年 2月16日)
この類の書物は出版されても、10年以上に及んで版が継続されることは、まず、ないので、なかなか、入手しにくいかもしれない。これらの書物は、是が非でも読まなければならないという訳ではないので、古本屋や古本市で、たまたま、目にしたら購入すれば良いでしょう。 「実用書」 と称していながら、ミーハー 向けの英会話本が氾濫している現状を ぼくはうんざりしています。そういう安直な書物など読んでも、役に立たないでしょう。「私はこうして英語を学んだ」 (松本道弘) と 「英語の習得法」 (最所 フミ) は、英語を本式に学習する人たち向けの指南書です。海外旅行に出向いて買い物ができれば良いという程度の英語を学習するのであれば--そう言っても、ぼくは、そういう学習を軽視しているのではないので、念のため--、松本道弘さん・最所 フミ さんの書物を読んだら、英語学習の 「厳しさ」 を感じて怖じ気づくでしょう (笑)。松本道弘さん・最所 フミ さんは、最高級の同時通訳者・翻訳家です。英語を使って仕事をするのなら--通訳者・翻訳家という英語の専門家のみではなくて、およそ、英語を使って仕事をする人たちなら、たとえば、ぼくのことを言えば、テ゛ータヘ゛ース 技術は、恩師 エリック・ウ゛ェセリー 氏をはじめとして、英語を母国語とする・日本語を知らない人たちから指導されましたが--松本道弘さん・最所 フミ さんが語っている英語学習法は参考になります。 篠田義明早稲田大学名誉教授が記された 「社会で役立つ 英語習得の テクニック」 も、非常に役立ちます。英語を学習する際、多くの人たちは、(かって教育された学校文法に対する反動なのか) 英会話ばかりに興味を示しているようですが、挨拶文の ハ゜ターン をいくつも丸暗記したところで、公式の英文を作成できないとか、英語 ニュース を聞き取れないというのでは、正常な言語運用力ではないでしょうね。社会人が英語を再学習する際に、中学校で教えている文型練習をやり直すというのは効果的・効率的ではないでしょう。学生時代に培った英語力を土台にして 「社会で役立つ」 英語の ルール を学習するのが学習法の正道ではないでしょうか。篠田名誉教授の書物には、社会人向けに、単語力増強法・文章の構成法・速読法・文法・口頭の コミュニケーション に関する注意点を網羅的に記述されていて、正常な言語運用力を養う学習法が説かれています。 辞典は、わからない単語を調べるために使うことが多いのですが--しかも、英単語の意味を調べる際、多くの人たちが、英語と訳語 (日本語) を機械的に 「1対1」 対応として暗記してしまっているという使いかたをしているのですが (苦笑)--、辞典には、様々に効果的な使い道があります。日本で生活していて英語を学習するのであれば、辞典をつねに参照しなければならないでしょう。したがって、辞典の効果的な使いかたを、いちど、学習しておけば、のちのち、辞典は最高級の師になってくれるでしょう。辞典の使いかたに関する書物を、いちど、読んでみてください。 |
▼ 英語の発想と語感を養うには、以下の本を読んで下さい。 ● 英語道場、松本道弘、創元社 ● 考える英語、松本道弘、朝日出版社 (★) ● 英語と日本語、最所 フミ、研究社 (★) ● 日英語表現辞典、最所 フミ、研究社出版 (★) ● 大学入試英作文辞典、木村哲也・Mark Schwarz 共著、SEG 出版 |
[ 読みかた ] (2006年 2月16日)
「考える英語」 (松本道弘) と 「日英語表現辞典」 (最所 フミ) は、ぜひとも、読んでみてください。「日英語表現辞典」 は、いまでも、入手できますが--文庫版も出版されていますが--、「考える英語」 は絶版かもしれないし、入手しにくいのですが、古本屋・古本市で探してください。いずれの書物も、豊富な例文を示して、「日本語と英語のあいだに存在する 『発想・表現の違い』」 を説明しています。
「考える英語」 は、垂直訳 (日本語の発想を前提にした英訳) と、水平訳 (英語の発想を前提にした英訳) とを対比して、「英語の発想」 を際立って示そうとしています。「英語というのは、こういう考えかたをするのだ」 ということを、小生が、はじめて知った書物です。英語の logic に対して、小生が 「感動」 (この言いかたは強調して大げさにしているのではなくて、ほんとうに、そう感じたのですが) を覚えた書物です。--もっとも、「考える英語」 を読む前に、「英語道場」 を読んでいたので、英語が示している straight thinking な記述力を感知してはいたのですが。ただ、のちのち、この straight thinking な記述力を トーン・タ゛ウン するために、そうとうな努力を意識的に注がなくてはならなくなったのですが。というのは、言語の運用では、formal とか informal などの situation を配慮しなければならないのですが、いくら、straight thinking だからと云って、forml な席上で、いきなり (そして、次から次に)、白黒を判断するような言いかたは 「不躾 (ぶしつけ)」 になるでしょう。そういう situation では、婉曲的表現を使うのが 「おとなの」 会話です。あるいは、get to the point というやりかたが主張・意見を述べる効果的・効率的なやりかただとしても、situation 次第では、粗野になるでしょう。
「日英語表現辞典」 も、「考える英語」 と同じように、英語の思考法を日本語のそれと対比して示しています。(「考える英語」 は、日本語の例文を英訳する形式を使って、日本語と対比して、英語の思考法を説明していますが、) 「日英語表現辞典」 は、辞典形式になっていて、「英和の部」 (単語を アルファヘ゛ット 順に記載) と 「和英の部」 (日本語を ローマ 字を使って五十音順に記載) という構成になっています。
「終わりに本辞典は、日本の英語研修者が英語の独自性を探求する フ゜ロセス において、英語の体質である
この点が、おそらく、英語学習 (外国語学習) の究極目的ではないでしょうか。 |
▼ 文法を勉強するために、いまさら、学校の教科書を使うには躊躇いがある、と思っていらっしゃるひとは、 以下の書物を読んで下さい。 ● 工業英語の語法、篠田義明、研究社出版 (★) |
[ 読みかた ] (2006年 2月16日)
世間では、「実用英語」 という ことば が使われている割には、英会話のことを云っていたりして、その特徴がさだかではないようなのですが、「実用英語とは どういう特徴 (語法・文体) があるのか」 を学習するのは、この書物は 「超」 お薦めです。
「幅広い資料を直接自分で観察し、研究して、工業英語の神髄をつかみ、基本となる事項を整理し、その思考を
「本書では、特定の一分野だけに片寄らず、科学工業全般に目を向け、すぐれた例文を通してこの分野の英語の 篠田義明氏は、早稲田大学名誉教授 (博士号取得) で、工業英語 (実用英語) の第一人者です。30数年前、日本では、いわゆる 「コレホ゜ン」 作成を中核とした貿易英語 (商業英作文) が主体だった時代に、Technical Writing の視点・技術を日本に導入・普及なさいました。 小生は英語の専門家ではないのですが、実用英語 (科学技術英語) の指導書として本書を読みました。ちなみに、本書は、英語の専門家のあいで、「名著」 の誉れ高い書物です。実用英語を 「本気で」 学習しようと思っている人たちには、「超」 お薦めの書物です。 本書の初版は、1977年なので、絶版かもしれないのですが、幸いにも、篠田義明名誉教授の ホームヘ゜ーシ゛ (「実用英語の ワンホ゜イント・レッスン」) にて、本書の中味が連載形式で転載されていますので、ご覧ください。 |
▼ 入門用の辞書
● 英米語用法辞典、井上義昌、開拓社
● Idiomatic and Symtactic English Dictionary、Hornby 他、開拓社 ● ウェフ゛スター 英英和辞典、小川芳男 編、Encyclopaedia Britannica (Japan) Inc.
● A.S.ホーンヒ゛ー 現代英和中辞典、笠原五郎 編集、開拓社 ● スーハ゜ー・アンカー 和英辞典、山岸勝榮 編、学習研究社 |
[ 読みかた ] (2006年 2月16日)
「英米語用法辞典」 (井上義昌) も 「Idiomatic and Symtactic English Dictionary」 (Hornby 他) も、いまとなっては、版が古いので、現代用語が記載されていないのですが、基本語彙に関しては、いまでも、役立ちます。最近は、電子辞書を使う人たちが多いので、電子辞書には、英英辞典として、「OXFORD Advanced Learner's」 や 「LONGMAN 現代英英辞典」 という 英語学習では 「定番」 の すばらしい辞典が搭載されていますが、それらを使いこなしている人たちは、思いの外、少ないのではないでしょうか。 英語を専門としていない人たちが--そして、英語辞典の使いかたに慣れていない人たちが--、(英語のことばの 「意味」 は、英語で習得するのが正当であると思って、) 英英辞典を使って 「意味」 を調べても、misleading/ misunderstood/ mistaken する危険性が高いのではないでしょうか。というのは、基本語に関して、英語の 「語感」 を習得していないまま、難解語を英英辞典で調べて、難解語を 「わかりやすい」 ことば (基本語) で説明してあるのを読んでも、基本語の 「語感」 を理解していないので、基本語を日本語に翻訳して、難解語の説明をわかったつもりになってしまうから。英語を外国語として学習する人たちが陥りやすい そういう危険性を回避するために、「OXFORD Advanced Learner's」 や 「LONGMAN 現代英英辞典」 は、様々な工夫を凝らしていますが、英英辞典を使うのなら、まず、基本語 2000語程度の 「語感」 を習得したほうが効果的でしょう。 たとえば、modest mind を英英辞典で調べてみてください。ぼくは、この ことば を、「(権力をもっていても、authority として有名であったりしても、) 頭の悪い」 ヤツ という意味で使います。この ことば の意味は 「謙虚な気持ち」 などではないのです (笑)。たとえば、前掲した 「日英語表現辞典」 では、「modest mind」 が 1つの見出し語になっていて、以下の例文が記載されています。 He was given a power disproportinate to his modest mind.
もし、この文を読んで、たとえば、disproportinate の 「意味」 がわからないので英英辞典を使って調べて、「too much or too little in relation to something else」 という説明を得たとして、modest と mind という基本語を 「日本語的感覚で」 翻訳したら、ひょっとしたら、「謙虚な心の持ち主なんで、思いもかねぬほど大きな権力を授かった」 (この訳は、誤訳として、最所 フミ さんが 「日英語表現辞典」 のなかで ご指摘なさっていらっしゃいます)、あるいは 「彼は謙虚なので、ふさわしい権力を与えられなかった」 というふうに誤解してしまうでしょうね。とすれば、「英語の ことば の意味を英語で説明した」 英英辞典を使って調べていながら、見事に、意味を読み間違えています。
brain/thinking process, decide, thinking about sth, worry/stop worrying, crazy/memtally ill, forget,
mind は、どうやら、「知力」 のことを意味するようですね。さらに、modest を調べてみたら、less than you would expect というふうに記述されています。つまり、modest mind は、「想像 (期待) していたほどの知力がない」 ということでしょうね。
ことばの意味は、時代とともに変化するので、「辞書と ○○ は新しいほど良い」 という言い伝えは正しいのですが、「OXFORD Advanced Learner's」 や 「LONGMAN 現代英英辞典」 は、(英語を外国語として学習する人たち向けに作られていますが、) 中級以上の学力をもった人たち向けであって、初級者向けではないでしょうね。
「英米語用法辞典」 (井上義昌) も、英語学習者が、ぜひとも、てもとに置いておきたい辞典です。この辞典も版が古いのですが、基本語の語法に関しては、いまでも、役立つと思います。たとえば、冠詞の使いかたを学習する際、書店に並んでいる実用書と称した ミーハー 本 なんかを読まないで、この辞典を読めば良いでしょう。この辞典は、語法に関して、内外の定評ある辞典・著作のなかで述べられている諸々の説明を網羅的にまとめた労作です。この辞典を起点にして、ほかに、最近の語法辞典を買い揃えれば良いでしょう。
(1) A dog is a faithful animal.
あるいは、たとえば、確率を記述する語として、likely, probable, possible, may の違いを述べることができますか。 「英米語用法辞典」 も 「Idiomatic and Symtactic English Dictionary」 も、「調べる辞典」 として使うと同時に 「読む辞典」 として使えば、英語力を着実に養うことができるでしょう。 |
▼ 日本人が編集した英英辞典
入門段階では、案外、(日本人の英語学習の弱点を知り尽くしている) 日本人の英語研究者たちが編集した
● シニア 英英辞典、旺文社
● 新英英辞典、研究社
● コンサイス 英英辞典、三省堂 |
[ 読みかた ] (2006年 2月16日)
ぼくは、「新英英辞典」 (研究社) を、かって、愛用していました。また、「シニア 英英辞典」 (旺文社) と 「コンサイス 英英辞典」 (三省堂) も、ときどき、使っていました。「Idiomatic and Symtactic English Dictionary」 (あるいは、「OXFORD Advanced Learner's」 や 「LONGMAN 現代英英辞典」) を使っていながら、日本人が作った英英辞典を使っていた理由は、日本語訳が併記されていたからです。 英語学習では、「Think in English」 とか 「English-through-English」 が謳い文句になっていて、そのためには、英英辞典を使うことが薦められていますが、たとえば、英語を学習しはじめた人たちが、incommensurable を英英辞典で調べて、「意味」 を的確に把握できるとは思えない。ちなみに、いま、てもとにある 「LONGMAN 現代英英辞典」 の電子辞書で調べたら、incommensurable は記載されていなくて、commensurate のみが記載されていました。そして、その意味を以下のように記述しています。
matching something in size, quality, or length of time [ + with ]
この定義をもとにして、incommensurable の意味を類推することは無理でしょう。
1. ((of two things)) that cannot be compared with each other: Love and money are incommensurable.
ぼくが知りたかった意味は、2. です。しかも、日本語訳が併記されているので、すぐに理解できます。
@ that cannot be compared with each other 比較できぬ 英語を学習する際、「English-through-English」 を謳うのは正しいことなのでしょうが、「英語を専門にしていない」 われわれが英英辞典を調べていて、むずかしい単語が わかりやすい基本語を使って説明してあるからといって、単語の意味を理解できる訳じゃないでしょう。英語を学習する際、「of the native, by the native and for the native」 を強調しすぎて、英英辞典は、欧米人が作っていなければならないという妄想を抱いている人たちが多いようですが、日本人が英語を学習する際に戸惑う諸点を知り尽くしている日本人英語研究者が作った英英辞典のほうが、英語学習の初級・中級では、役立つとぼくは思います。当然ながら、日本人が作った英英辞典は、欧米人の英語専門家が proofread しています。 英英辞典を日本語に 「翻訳」 して、英語と日本語を併記した 「英英和」 辞典も出版されています。たとえば、以下の辞典を、ぼくは重宝しています。
(1) ウェフ゛スター 英英和辞典、小川芳男 編、Encyclopaedia Britannica (Japan) Inc. 書斎にいるときには、これらの辞典を、ときどき、使うのですが、出張など外出するときに携帯するには版が大きすぎるので、「コンサイス 英英辞典」 を携帯することが多い。 初級段階では、英語辞典として、「英英和」 形式の「新英英辞典」 (研究社)・「コンサイス 英英辞典」 (三省堂) と 英英形式の 「Idiomatic and Symtactic English Dictionary」 を併用するのが効果的・効率的だと思います。 |
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