2001年12月 2日 作成 会計学 [ 財務会計論 ] (全般) >> 目次 (作成日順)
2006年 5月16日 更新  


 以下の 2点は、日本的経営に対して多大な影響を及ぼした。

   (1) 経営手段の拡張 (IT 技術 [ The Internet ] を使った e-ヒ゛シ゛ネス)
   (2) 経営成績の測定手段の変更 (国際会計基準)

 したがって、経営に役立つ コンヒ゜ュータ・システム を構築する職責にある システム・エンシ゛ニア は、いわゆる 「会計 ヒ゛ック゛ハ゛ン」 と呼ばれている実態を調べておいたほうがいい。



[ 読みかた ] (2006年 5月16日)

 過去 10年ほど、「会計 ヒ゛ック゛ハ゛ン」 と云われたほど、企業会計の法規が変更されてきました。それらの変更は、一言でいえば、「国際会計基準との調整」 でした。それらの変更対象となった重立った会計基準を以下に列挙します。

  (1) リース 取引会計 (平成 5年)
  (2) 連結会計 (平成 9年改訂)
  (3) キャッシュフロー 計算書 (平成 10年)
  (4) 研究開発費会計 (平成 10年)
  (5) 退職給付会計 (平成 10年)
  (6) 税効果会計 (平成 10年)
  (7) 金融商品会計 (平成 11年)
  (8) 外貨建取引等会計 (平成 11年改訂)
  (9) 減損会計 (平成 14年)

 さらに、商法も、平成年度になって、10数回に及んで改訂され、昨年 (2005年)、「第2編 会社」 が有限会社法と一体されて、「新会社法」 として公表されました。そして、新会社法は、「内部統制 システム」 を事業報告の記載事項としています。そして、2005年 7月、金融庁が 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 (公開草案)」 を公表し、2005年 8月、経済産業省が 「コーホ゜レート゛カ゛ハ゛ナンス 及び リスク 管理・内部統制に関する開示・評価の枠組みについての指針 (案)」 を公表しました。金融庁の 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 (公開草案)」 の法令化は、米国の SOX法に対応するので、いわゆる 「JSOX法 (日本版 SOX法)」 と通称されています--「JSOX 法」 という法律はないのですが、通称として使われています。「JSOX 法」 は、「IT への対応」 を提示していますので、システム・エンシ゛ニア は、「JSOX 法」 を知らないという訳にはいかないでしょうね。
 ちなみに、金融庁の 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 (公開草案)」 では、「内部統制」 として、「COSO (「コーソー」 と発音します) フレームワーク」 が参考にされています。

 「内部統制」 では、「IT への対応」 が高い比率を占めるでしょう。
 コンヒ゜ュータ は、企業の事業過程・管理過程のなかで高い比率で使われているので、事業が正当に実施されているかどうかを監視・統制するには、コンヒ゜ュータ・システム を効果的・効率的に使い、同時に、コンヒ゜ュータ・システム そのものが正しく運用されているかどうかを監視・統制しなければならない。それが 「IT への対応」 です。
 したがって、「IT への対応」 は、「技術的には」、いままで、システム 作りで使われてきたことを ちゃんと実施していれば問題点が起こることはないのですが、システム・エンシ゛ニア が、はたして、新会社法が示した新しい 「会社」 の概念や、会計基準が示した 新しい 「取引」 の概念を理解しているのかどうかという点を私は問題視したい。少なくとも、1995年以後、会計の書物を読んでいないような システム・エンシ゛ニア が、事業過程を分析することは危険 (不適切) でしょうね。

 




 

 ▼ 入門編

 いきなり、「国際会計基準」 を読んでも、会計学 (財務会計論) の基礎知識がなければ、理解できない。
 以下に記載する本を読んで、基礎知識を習得されたい。

 ● 新版 財務会計論、新井清光、中央経済社 (★)
  [ 10回程度読んで、サフ゛ノート を作成してください。]

 ● セ゛ミナール 現代会計入門、伊藤邦雄、日本経済新聞社 (★)

 ● ヒ゛シ゛ネスセ゛ミナール 英文会計入門、小島義輝、日本経済新聞社

 ● 学習版 会計諸則集、税務経理協会 編、税務経理協会

 



[ 読みかた ] (2006年 5月16日)

 「会社」 の概念や 「取引」 の概念は、10年前に比べて、大きく変化しました。それらの新しい概念を学習しようとして、いきなり、「新しい会計」 の書物を読んでも、いままで、会計を学習したことのない人たちは、理解できないでしょう。「新しい会計」 を学習するには、まず、会計の基本概念を学習しなければならないでしょうね。会計の基本概念を学習するには、以下の 2冊をお薦めします。

 (1) 新版 財務会計論、新井清光、中央経済社
 (2) セ゛ミナール 現代会計入門、伊藤邦雄、日本経済新聞社

 (1) は、従来の 「取得原価主義」 会計を 「分配可能利益の計算」 手続きの観点に立って、体系化した 「名著」 なのですが、いまとなっては、古さを否めない。ただ、この書物を丁寧に読めば、従来の会計が、どうして 「新しい会計」 に変更されたのか、そして、従来の会計の考えかたの どこが変更されたのか を確実に理解することができます。私が大学生の頃に読み始めて--いまとなっては、もう、30年前になりますが--、10数回は読み直してきた書物です。従来の会計を理解するために、一読して下さい--2001年に、本 ヘ゜ーシ゛ を執筆したとき、「10回程度読んで、サフ゛ノート を作成してください」 と綴りましたが、いまなら、もう、それほど読み込まなくても良いでしょうね。ただ、一度は、読んでみて下さい。

 (2) は、文中、財務分析の数値を盛り込んで、会計が、どのような手続きを使って財務諸表を作成して、財務諸表の数値を どのように読めば良いかを示していています。(1) が会計理論を重視しているのに対して、(2) は、現代会計の 「視点」 を示していて、(会計数値を実際に どのように読めば良いかという観点を起点にして、) 会計手続きを述べています。したがって、もし、この書物のみを読むのであれば、簿記の基礎技術や会計の基礎概念を学習してから--書店に往って、「超」 入門の簿記・会計の書物を、どれでも良いから 数冊購入して、それらを丁寧に読まなくても通読して、簿記・会計の基礎概念を知ってから--、この書物を読んで下さい。簿記・会計の基礎知識を習得してから、(2) を読めば、非常に役立ちます--「情報開示」 の視点から会計を考える点で役立ちます。

 企業会計に関する法令を集めた書物のことを 「会計諸則集」 とか 「会計法規集」 と云いますが、会計の解説書ばかりを読んで、実際の法令を知らないというのでは本末転倒でしょう。「会計諸則集」 をてもとに置いて、随時、参照するようにして下さい。
 また、会計の解説書ばかりを読んで、実際の有価証券報告書や (株主向けに公表される) 「アニュアル・レホ゜ート」 を観たことがないというのも本末転倒でしょうね。それらの報告書は、それぞれの企業の ホームヘ゜ーシ゛ に記載されていますので、随時、目を通すようにして下さい。

 




 

 ▼ 入門編の応用編

 前述の本を 「完全に」 理解しないかぎりは、以下の本を読んではいけない。
 以下に記載する本は、いわゆる 「ハウ・ツー」 本だが、前述した本を読んで、理論的な土壌を肥やしておけば、以下の 「ハウ・ツー」 は、とても役立つ。

 ● [ 図解 ] 経営のための国際会計基準、飯田信夫、東洋経済新報社

 ● [ 図解 ] わかる! 国際会計基準、太陽監査法人、タ゛イヤモント゛ 社

 ● [ 超図解 ] 2001年からの会計入門、山田徳昭・工藤雅俊 著、エクスメテ゛ィア

 ● すぐわかる 新会計基準、岩崎 勇、一橋出版

 ● 新会計基準解説 A to Z (21世紀の会計 ハ゜スホ゜ート)、松井泰則、一橋出版

 ● 減損会計の仕組みと対策、栗原 学・山田徳昭・長谷川英司・吉田実貴人 共著、中央経済社

 



[ 読みかた ] (2006年 5月16日)

 前掲した個々の書物を読んでほしいという意味で記載したのではないのであって、「新しい会計を概説した入門書」 を 数冊 読んでほしいという意味で記載しました。これらの書物は、私が読んだ書物です。こういう入門書を読む狙いは、重立った概念を理解して全体像を把握するためであって、その狙いさえ実現できれば良いのだから、「定番」 として推薦する入門書はないし、1冊にかぎらないで、かならず、数冊を読んで下さい。入門書を選ぶ際、本 ヘ゜ーシ゛ の最初に示した一連の会計基準が記述対象になっているかどうかを選択基準にして下さい。一連の会計基準は、以下の順序で学習するのが良いでしょう。したがって、入門書を選ぶ際にも、目次を観て、その点を考慮して下さい。

  (1) 減損会計
  (2) 連結会計
  (3) キャッシュフロー 計算書
  (4) 税効果会計
  (5) 退職給付会計
  (6) リース 取引会計
  (7) 金融商品会計
  (8) 研究開発費会計
  (9) 外貨建取引等会計

 




 

 ▼ 中級編

 さらに、研究したい人々は、以下の文献を読んでください。

 ● 貸借対照表論、山下勝治、中央経済社

 ● 会計学一般理論、山下勝治、千倉書房

 ● 利潤計算原理、岩田 巌、同文館

 ● 会計公準論、新井清光、中央経済社

 ● 企業会計原則論、新井清光、森下書店

 ● 雑誌 「企業会計」 1999年 1月号:創刊記念 50周年特大号
  [ 戦後以降の 「制度会計」 の歴史を知るには役立つ。]

 ● A statement of Accounting Principles, Sanders, T.H., Hatfield H.R., and Moore U., AAA

 ● An Introduction to Corporate Accounting Standards, Paton W.A., and Littleton A.C., AAA
  [ 上述の翻訳 ] 会社会計基準序説、ヘ゜イトン=リトルトン 著、中島省吾 訳、森山書店

 ● A Statement of Basic Accounting Theory, AAA, AAA
  [ 上述の翻訳 ] 基礎的会計理論、アメリカ 会計学会 著、飯野利夫 訳、国元書房

 ● AAA 企業会計原則、アメリカ 会計学会 著、中島省吾 訳、同文館

 ● 企業会計原則、アメリカ 公認会計士協会 著、川口 順 訳、同文館

 ● アメリカ の会計原則、青山監査法人・フ゜ライスウォーターハウス、東洋経済新報社

 ● アメリカ の会計基準 ARB・APB 意見書 FASB 基準書の解説、山田昭広、中央経済社

 ● 英和対照 アメリカ の会計実務詳解、染谷道夫・飯田信夫、中央経済社

 ● 国際会計基準 ハント゛フ゛ック、青山監査法人・フ゜ライスウォーターハウス、東洋経済新報社

 ● 国際会計基準 カ゛イト゛フ゛ック、朝日監査法人・アンタ゛ーセン、中央経済社

 ● 国際会計基準と日本の会計実務
  神戸大学 IAS フ゜ロシ゛ェクト・朝日監査法人 IAS フ゜ロシ゛ェクト、同文館

 ● 現在価値--キャッシュフロー を用いた会計測定--、(財)企業財務制度研究会 訳、中央経済社
  [ FASB 討論資料 "Present Value-Based Measurements in Accounting" の全訳 ]

 ● 時価会計の実務 [ 金融商品の新会計基準 ]、吉川 満・吉井一洋、(社) 商事法務研究会

 ● 金融資産・負債と持分の会計処理、菊谷正人・岡村勝義・神谷健司、中央経済社

 ● 減損会計基準 カ゛イト゛フ゛ック、中央青山監査法人 研究 センター 編 共著、中央経済社

 ● 新 「会社法」 詳解、雑誌 「企業会計」 特別保存版 平成17年 7月号、中央経済社

 ● テキスト 国際会計基準 [ 第 4版 ]、桜井久勝編著、白桃書房

 ● 2009 国際財務報告基準 IFRS、国際会計基準委員会財団 編、中央経済社

 



[ 読みかた ] (2006年 5月16日)

 ここに記載した書物は、基本書のみです。私は、ここに記載した書物のほかに、多数の書物を所属していますが、会計を専門にしていない人たちが読まないような書物を省いています。しかも、ここに記載した書物ですら、会計を専門にしない人たち向けではない書物もありますが、もし、会計を専門にしていない人たちのなかで、会計を 「本気で」 学習しようと思う人がいれば、役立つことを願って、専門的な文献のなかから、基本書を記載しました。ちなみに、私は、大学院で、会計を専攻していたので、会計の文献は、ここに記載した書物のほかに、多数、所蔵しています。ここに記載した書物は、動態論を基底にした取得原価主義の理論書、ならびに国際会計基準の解説書および時価会計に関する 「基本的な」 書物です。

 会計の知識を、或る程度、習得していて--ただし、会計の専門家ではなけれど--、わが国の企業会計 (制度会計) の全体像を知りたいという人のために、ここに記載した書物のなかで お薦めする書物は以下の 2冊です。

  (1) 雑誌 「企業会計」 1999年 1月号:創刊記念 50周年特大号 [ 戦後以降の 「制度会計」 の歴史 ]、中央経済社
  (2) 雑誌 「企業会計」 特別保存版 平成17年 7月号 [ 新 「会社法」 詳解 ]、中央経済社

 いままで記載してきた会計の入門書 (「新版 財務会計論 (新井清光)」、「セ゛ミナール 現代会計入門 (伊藤邦雄)」、および 「新しい会計」 の入門書 数冊) を読んで、かつ、上述した雑誌 「企業会計」 の 2冊を読んでいれば、会計の専門家でない人が習得している会計知識として充分でしょう。

 




 

 ▼ 辞典

 ● 会計法規集、中央経済社 編、中央経済社

 ● 会計便利事典、太田達也、税務研究会出版局

 ● 最新 会計処理 カ゛イト゛フ゛ック、公認会計士 桜友共同事務所 吉野昌年 編著、清文社

 ● コーラー 会計学辞典、染谷恭次郎 訳、丸善

 ● 会計学大辞典、太田哲三・佐藤孝一・番場嘉一郎 監修、中央経済社

 ● 会計学大辞典、森田哲彌・岡本 清・中村 忠 編集、中央経済社

 ● HANDBOOK OF MODERN ACCOUNTING, Sidney Davidson, Roman L. Weil, McGraw-Hill

 ● BARRON'S Dictionary of Accounting Terms,
  Joel G. Siegel and Jae K. Shim, BARRON'S EDUCATIONAL SERIES
  [ 対訳本 ] 英文会計用語辞典、堀内正博・佐々木洋和 訳、清水社




  なお、IAS (国際会計基準) の原文は、日本公認会計士協会国際課に頼めば、有料にて入手できる。
   http://www.jicpa.or.jp

  会計基準に関する ホームヘ゜ーシ゛ については、「お役立ち リンク 集」を参照されたい。





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