2002年 1月31日 作成 | 「すべての」 と 「いくつかの」 | >> 目次 (作成日順) |
2007年 4月 1日 補遺 |
命題関数は、演算子 (「すべての」 と 「いくつかの (...存在する)」) および論理的否定を使って、(真あるいは偽の) 判断に転化できる。演算子 「すべての」 と演算子 「いくつかの」 のことを量化記号と呼び、以下のように記述する。
(1) すべての x -----------------> ∀x
∀ は all を意味する記号であり、∃ は extistential を意味する記号である。 文章: 敦と剛と大地の 3人が野球をする。 (1) 記号化
p1 = 敦は野球をする。 (2) 記号列 (以上の記号を 「連言」 を使って記述すれば、以下のようになる。) p1 ∧ p2 ∧ p3. (3) 全称化 さて、p1 と p2 と p3 のそれぞれの要素命題のなかで使われている個体記号 (1 と 2 と 3) を変数にすれば、以下のように記号化できる。 px = x は野球をする。 そして、量化記号を使えば、以下の記述になる。 ∀xpx (読みかた: すべての x は性質 p をもつ。) つまり、連言を使って記述された複合命題と全称命題は同値である。 p1 ∧ p2 ∧ p3 ≡ ∀xpx. 文章: 信号機の指示灯の色は 3色ある。青色か赤色か黄色である。 (1) 記号化
p1 = 信号機が青色になっている。 (2) 記号列 (以上の記号を 「選言」 を使って記述すれば、以下のようになる。) p1 ∨ p2 ∨ p3. (3) 存在化 さて、p1 と p2 と p3 のそれぞれの要素命題のなかで使われている個体記号 (1 と 2 と 3) を変数にすれば、以下のように記号化できる。 px = 信号が x 色になっている。 そして、量化記号を使えば、以下の記述になる。 ∃xpx (読みかた: 性質 p をもつ x がいくつか存在する。) つまり、選言を使って記述された複合命題と存在命題は同値である。 p1 ∨ p2 ∨ p3 ≡ ∃xpx. 量化記号を附与された式のなかにある変数を束縛変項 (bound variable) といい、量化記号を附与されていない式のなかにある変数を自由変項 (free variable) という。 つまり∀xpx あるいは ∃xpx のなかの x は束縛変項であり、px のなかの x は自由変項である。
(1) ∀xpx (x は束縛変数である) ちなみに、px の自由変数 x のなかに値を代入した命題は (全称命題および存在命題に対して) 単称命題と呼ばれている。たとえば、px において、性質 p を緑色として、自由変数 x のなかに 「この葉」 という値を代入すれば、「この葉は緑色である」 という文章が単称命題である (言い換えれば、変数を使わない命題が単称命題である)。 次回は、全称命題と存在命題と単称命題の間に成立する関係を扱う。□ |
[ 補遺 ] (2007年 4月 1日)
「すべての」 と 「いくつか」 は、否定形を注意していなければならないでしょうね。 All of us are not rich. いわゆる 「all ... not」 は、全部否定なのか部分否定なのか、という論点です。
(1) [ 全部否定 ] None of us are rich. (全員が貧乏である)
数学では、部分否定です。 It is not true that all of us are rich. すなわち、¬ { ∀x P (x) }。
では、全部否定は、どうなるといえば、∀x ¬ P (x) です。言い換えれば、¬ { ∃x P (x) } です。 |
<< もどる | HOME | すすむ >> | |
ベーシックス |