2003年 1月 1日 VE の VE >> 目次 (作成日順)
  ● QUESTION   VE の VE はあるか。
  ▼ ANSWER   ある。
2008年 1月16日 補遺  



 以下の例を考えてみる。

 {取引先 コード、取引先名称、・・・、設立日、解散日}.

 「取引先」 の メンバー のなかで、ほとんどの メンバー では、「解散日」 は null となる データ が多いので 「相違の サブセット」 とする。

       取引先
        |
        × null (解散日)
        │
        ├{取引先 コード、取引先名称、・・・、設立日}
        └{取引先 コード、取引先名称、・・・、設立日、解散日}

 
 ただ、「設立日」 と 「解散日」 は 「取引先」 に帰属する性質ではない。
 したがって、「設立日」 と 「解散日」 を以下のように VE として扱う。

  (1) 取引先 {取引先 コード、取引先名称、・・・} [ R ].
  (2) 取引先. 設立 {取引先 コード (R)、設立日} [ VE ].
  (3) 取引先. 解散 {取引先 コード (R)、解散日} [ VE ].

 
 「取引先. 設立」 と 「取引先. 解散」 は 「取引先」 から 「べつべつに」 生成される。
 以上の データ を前提にすれば、「解散日」 は 「取引先が、すでに解散して、もう、取引相手ではない」 と いう FLAG として使われている。

 ただ、もし、「設立」 から 「解散」 までの状態を 「状態の推移」 として解釈すれば、以下のようになる。  「取引先. 設立」 と 「取引先. 解散」 には以下の相関関係が成立する。

  取引先 {取引先 コード、取引先名称、・・・} [ R ]
   |
   --
   |1-対-1
   --
   |
  取引先. 設立 {取引先 コード (R)、設立日} [ VE ]
   |
   --
   |1-対-1
   ○
   --
   |
  取引先. 解散 {取引先 コード (R)、解散日} [ VE ]

 
 「解散日」 が null である取引先がいるので、「取引先. 解散」 の リレーションシップ 上には、「ゼロ の cardinality」 が付与される。

 コード 体系のなかに 「単独の認知番号」 が定義されていない擬似 「event」 の状態推移を記述するには、以下の 2つの やりかた しかない。

 (1) 対照表 (を使った サブセット 化)
 (2) VE の VE

 



[ 補遺 ] (2008年 1月16日)

 本 エッセー の最後に述べた以下の 2つの使い分けを ご理解していただいているでしょうか。

 (1) 対照表 (を使った サブセット 化)
 (2) VE の VE

 対照表は、ZF (ツェルメロ・フレンケル) の公理系でいう 「対の公理」 を使った セット (集合) です。すなわち、2つの集合 (a と b) があれば──TM では、この 2つの集合は、「resource」 に限られますが──、その 2つの集合を メンバー とする集合 x が存在する、ということです。つまり、a と b が集合なら { a, b } も集合である── x は、{ a, b } である──ということです。そして、集合 x として、ZF の 「置換公理」 を使って 「集合的性質 f (x)」 を考えれば、TM では、集合 x は、基本的に、「event」 を意味する、ということです。
 したがって、対照表の サブセット 化は、「1つの集合のなかで」 という前提に立っています。

 いっぽう、VE は、「そのもの-の性質ではない」 性質を除去するために使います。言い換えれば、VE は、「ほかの entity を仮想できる」 という意味です。本 エッセー の例では、「取引先」 に対して、「設立日」 も 「解散日」 も──「設立」 および 「解散」 という 「event」 を言及するので──帰属しないし、かつ、「設立」 と 「解散」 は、それぞれ、べつべつの 「event」 です。したがって、「設立」 と 「解散」 は、「VE」 および 「VE の VE」 として記述されます。




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