2003年 8月 1日 作成 日本史 (古文書の読みかた) >> 目次 (作成日順)
2008年 1月 1日 更新  


[ 読みかた ] (2008年 1月 1日)

 「古文書」 という言いかたは、常識では、古い文献の総称のように思われますが、学問的には、もっと、限られた意味です。歴史的な文献資料は、以下の 3つに分類されます。

  (1) 「著述」、すなわち、一定の目的をもって編纂された著作。
  (2) 「記録」、すなわち、個人 (あるいは、集団) が覚書として後日に遺す目的で作成した記録。
  (3) 「文書」、すなわち、作成したひと と受取るひと がいて、意志伝達を目的とした記録。

 学問上、(3) を 「文書」 といい、過去の時代の史料となる 「文書」 を 「古文書」 と云います。願文・法令・戸籍なども 「文書」 です。日本最古の文書は、702年の戸籍だそうです。公文書は、大宝・養老の公式令 (くしきりょう) で 「様式」 が定められていて、詔書・勅書・符・移 (い)・解 (げ)・牒 (ちょう) などがありました。平安時代になって、宣旨・下文 (くだしぶみ)・綸旨 (りんじ)・御教書 (みぎょうしょ) などがおこなわれ、中世になって、室町時代では、(前代の下文に代わって) 「御内書」 が最高権威を有するようになって、「奉書」 が幕府の中心的文書になりました。「印判状」 も多用されています。近世では、検地帳・村入用帳・勘定帳・五人組帳・宗門人別改帳などの新たな文書が出てきました。将軍の 「直状 (じきじょう)」 として、判物 (はんもつ)・朱印状・黒印状がありました。近世の文書は、和紙生産の普及にともなって、封建制度の政治的支配構造のなかで、文書・記録の所在構造 (作成・授受・保管の構造) が確立されていて、村 (約 7万の村) が作成・授受した多量の文書が伝存され、さらに、寺子屋などの庶民教育の普及も相まって、私文書が多量に遺されています。

 日本で 「古文書学」 が学問として始められた時期は、1890年 (明治 23年)だそうです──坪井九馬三が、欧州の 「古文書学」 を手本にして、東京大学で講義したのが最初だそうです (坪井九馬三 著、「史学研究法」、明治 26年)。以後、ほかの大学でも、「古文書学」 の講座が設けられてきました。そして、東京大学史料編纂所は、古文書の蒐集整理に関して、中心的役割を担ってきました。

 古文書は史料として第一級 (原史料) なので、私は、古文書を (活字に印字された状態ではなくて、影印の) 「原文」 で読みたいと思い、古文書の読みかたを学習するために、本 ページ に記載した書物を集めたのですが、「ツンドク」 状態です (苦笑)。このままの状態では、定年退職後に取り組むことになるかもしれない、、、。というのは、私は、いま、哲学・論理学・数学の学習に ちから を注いでいるので。





 古文書 (原史料) の読みかたを対象にした書物を記載します。

 


 ▼ [ 史料、古文書選 ]

 ● 文献史料を読む・古代から近代、青木和夫・佐藤進一・高木昭作・坂野潤治 編、朝日新聞社

 ● 古文書時代鑑 (上・下) [ 覆刻/新装版 ]、東京大学史料編纂所 編、東京大学出版会

 ● 近世の古文書、荒居英次 編、小宮山出版

 ● 大奥激震録 チャレンジ 江戸の古文書、吉田 豊 編、柏書房

 ● 演習 古文書選 古代・中世編、日本歴史学会 編、吉川弘文館

 ● 演習 古文書選 様式編、日本歴史学会 編、吉川弘文館

 ● 演習 古文書選 荘園編 (上・下)、日本歴史学会 編、吉川弘文館

 ● 演習 古文書選 近世編、日本歴史学会 編、吉川弘文館

 ● 演習 古文書選 続近世編、日本歴史学会 編、吉川弘文館

 ● 演習 古文書選 近代編 (上・下)、日本歴史学会 編、吉川弘文館

 




 ▼ [ 概説書 ]

 ● 古文書入門講座、嗣永芳照、新人物往来社

 ● 古文書入門 (上・下)、歴史教育者協議会 編、河出書房新社

 ● 古文書解読入門、笹目蔵之助、新人物往来社

 ● 基礎古文書のよみかた、林 英夫 監修、柏書房

 ● 実例 古文書判読入門、北島正元 監修・樋口政則 著、名著出版

 ● 入門 古文書を楽しむ、菅野則子・桜井由幾 著、竹内書店新社

 ● 概説 古文書学 古代・中世編、日本歴史学会 編、吉川弘文館

 ● 入門 史料を読む 古代・中世、小山田和夫、吉川弘文館

 ● 図録 中世文書の基礎知識、小和田哲男 編、柏書房

 ● 江戸かな古文書入門、吉田 豊、柏書房

 ● 寺子屋式 古文書手習い、吉田 豊、柏書房

 ● 古文書が語る近世村人の一生 (セミナー [ 原典を読む ] 4)、森 安彦 国文学研究資料館 編、平凡社

 ● 暮らしの中の古文書、浅井潤子 編、吉川弘文館

 




 ▼ [ 辞典・事典・字典 ]

 ● 書誌学序説、山岸徳平 著、岩波全書

 ● 古文書大字典、浅井潤子・藤本 篤 編著、柏書房

 ● 古文書用字用語大事典、池田正一郎、新人物往来社

 ● 入門 近世文書字典、林 英夫・中田易直 編、柏書房

 ● 古文書判読字典、浅井潤子・藤本 篤 編、柏書房

 ● 古文書解読事典 (文書館へいこう)、太田尚宏・中村大介 編、東京堂出版

 ● [ 音訓引 ] 古文書大字叢、林 英夫 監修、柏書房

 ● かな解読字典、中田易直・中田剛直・浅井潤子・浅見 恵 編著、柏書房

 ● かな用例字典、中田易直・中田剛直・浅井潤子・浅見 恵 編著、柏書房

 ● くずし字用例辞典、児玉幸多 編、近藤出版社

 ● かな連綿字典 (第 5巻)、本阿彌切糸、雄山閣

 ● 古文書・古記録 難訓用例大辞典、林 陸朗 監修、柏書房

 ● 江戸版本解読大字典、根岸茂夫 監修、柏書房

 ● 近世古文書辞典 (米沢領)、芳賀勝助 編、国書刊行会

 ● 新版 古文書も読める くずし字辞典、池田こういち、GAKKEN

 


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