2003年10月16日 2 種類の サブセット 構造 >> 目次 (作成日順)
  ● QUESTION   1 つの セット のなかで、2 種類の相違する サブセット 構造を生成しても良いか。
  ▼ ANSWER   だめ。サブセット は帰属関係を記述して、セット の 「周延」 を検証する手段だから。
2008年11月 1日 補遺  



 1 つの サブセット のなかで、2 つ以上の相違する サブセット 構造を作成する、ということは、たとえば、以下の構造をいう (以下に例示する構造は、137 ページのなかで扱った構造である)。

    営 業 所 [ R ]
    |  |
    |  × [ 営業所区分 コード ]
    |  │
    |  ├ 国内営業所
    |  │
    |  └ 海外営業所
    |
    × [ 特約店種別 コード ]
    |
    ├ 支所
    |
    └ 特約店

 
 「命題論理」 を前提にして構文を解析するT字形 ER手法が サブセット (集合論) を援用している理由は、データ 構造の 「周延」 を検証するためである。しかも、T字形 ER手法が援用している集合論は、(クラス 概念ではなくて) セット 概念である [ クラス と セット の違いについては、「ベーシックス」 の 32 ページ を参照されたい ]。
 「(国内営業所 + 海外営業所) + (支所 + 特約店) = 営業所」 という等式は成立しない。

 セット の階層が 2階層以上になっても、上位の セット に帰属する メンバー は、かならず、「すべての」 下位の セット (サブセット) の メンバー でなければならない。したがって、上述の 2 つの サブセット 構造のいずれかは、サブセット ではない。

 特約店種別 コード は、営業所に帰属する内的特徴 (サブセット を記述する アトリビュート) ではなくて、資本関係のなかで成立する外的特徴である。以下の構造が正しい。

    営 業 所 [ R ]
    |  |
    |  × [ 営業所区分 コード ]
    |  │
    |  ├ 国内営業所
    |  │
    |  └ 海外営業所
    |
   営業所. 特約店種別 [ VE ]
    |
    × [ 特約店種別 コード ]
    |
    ├ 支所
    |
    └ 特約店

 

 



[ 補遺 ] (2008年11月 1日)

 まず、用語の意味を明らかにしておきます。「周延的」 という語は、「集合的」 という語と対になる語で、集合について語られるときに、「集合的」 (あるいは、集合的性質) といい、メンバー について語られるときに、「周延的」 (あるいは、周延的性質) といいます。したがって、集合について語られることと メンバー について語られることを混同してはいけない。そして、集合について語られたことは、メンバー に そのままあてはまる訳ではないし、逆に、メンバー について語られることが そのまま集合についてあてはまる訳でもない点に注意して下さい。たとえば、法人 A が 「技術力のある」 組織だとしても、その法人の メンバー { a1, ・・・, an } の全員が 「技術力のある」 ことにはならないでしょうね。

 さて、「セット と サブセット」 の関係は、数学的構造では、同値類において 「分割と細分」 を適用します。「分割と細分」 については、本 ホームページ の 432 ページ を参照して下さい。ひとつの セット に対して 「分割と細分」 を適用するときに、複数 (ときには、多数) の 「階」 構成を考えなければならないこともあるでしょうね──たとえば、オブジェクト 指向で云う 「多重継承」 を考えてみて下さい。ただ、形式的構成を データベース に実装することを前提にすれば──たとえば、リレーショナル・データベース の テーブル 構成として実装するのであれば──、「階」 の構成は 「包摂関係」 のなかで 1 つの ルート に限ったほうが扱いやすいでしょう。

 複数 (あるいは、多数) の 「階」 構成が起こるようであれば、どれを サブセット にするかの判断は、セット 「そのもの-の」 性質であるか、それとも セット 「に対する」 性質──すなわち、「関係」 のなかで生じる性質──なのかを検討すればいいでしょう。ただ、「そのもの-の」 性質かどうかという判断は、なんらかの定義法がある訳ではないので、曖昧さを免れないのですが、ひとつの判断目安にはなるでしょう。





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