2003年11月 1日 組織図 (複数の対照表か、1つの対照表か) >> 目次 (作成日順)
  ● QUESTION   組織図は、複数の対照表とすればいいのか、1つの対照表とすればいいのか。
  ▼ ANSWER   どちらも 「技術的には」 成立するが、組織観がちがってくる。
2008年11月16日 補遺  



● 事業の前提

 事業部制組織を前提にして、組織は以下の構成である、とする。

  (1) 部
  (2) 課
  (3) 係

 ただし、組織構成上、以下の 3 つが起こる、とする。

  (1) 部、課、係から構成される。
  (2) 部、課から構成される (係がない)。
  (3) 部、係から構成される (課がない)。

 
● データ 構造

  (1) A 案 (複数の対照表として記述する)

     部 { 部門 コード、部門名称 } [ R ]
     課 { 課 コード、課名称 } [ R ]
     係 { 係 コード、係名称 } [ R ]

     組織構成
      |
      × [ 概念的な スーパーセット ]
      │
      ├ 部. 課. 係. 対照表 { 部 コード (R)、課 コード (R)、係 コード (R) }
      │
      ├ 部. 課. 対照表 { 部 コード (R)、課 コード (R) }
      │
      └ 部. 係. 対照表 { 部 コード (R)、係 コード (R) }

 
  (2) B 案 (1 つの対照表として記述する)

     部 { 部門 コード、部門名称 } [ R ]
     課 { 課 コード、課名称 } [ R ]
     係 { 係 コード、係名称 } [ R ]

     部. 課. 係. 対照表 (組織構成)
      |
      × null (課 コード、係 コード)
      │
      ├ 部. 課. 係. 対照表 { 部 コード (R)、課 コード (R)、係 コード (R) }
      │
      ├ 部. 課. 対照表 { 部 コード (R)、課 コード (R) }
      │
      └ 部. 係. 対照表 { 部 コード (R)、係 コード (R) }

 
  A 案も B 案も、実装形は同じになる。ただし、2 つの案は、(記述がちがうのだから) 意味がちがう。
  B 案は、「部. 課. 係.」 の構成が 「正規形 (標準形)」 として考えられていて、課や係がないというのは (つまり、null が起こるということは)、例外事項なのである。いっぽう、A 案では、課や係が 「正規形 (標準形)」 を構成するとは考えられていない。部──事業部制を前提にしているので、a must であるが──と課と係は、かくかくの構成となるという色々な組織構成を記述していて、総括として──組織構成として──、しかじかの構成がある、ということを述べている。

  T字形 ER手法では、記述 (構成) が違えば、意味がちがう、という点に注意されたい。

 



[ 補遺 ] (2008年11月16日)

 A 案の対照表 { 部 コード (R)、課 コード (R)、係 コード (R) } は途中構成を示さないで、最終形しか記述していないのですが、寧ろ、途中で構成される対照表のほうが 「意味」 を読み取るには大切です。対照表 { 部 コード (R)、課 コード (R)、係 コード (R) } を構成するには、以下の 2 つのやりかたがあるでしょうね。

 (1) まず、対照表 { 部 コード (R)、課 コード (R) } を構成する。
    次に、この対照表に対して、「係」 を足す。

 (2) まず、対照表 { 課 コード (R)、係 コード (R) } を構成する。
    次に、この対照表に対して、「部」 を足す。

 (1) は、まず、部が存在して、部が次第に分割・細分されてゆく組織構成で、(2) は、まず、課 (あるいは、係) が存在して、次第に部として統合される組織構成です。この 2 つの組織構成は、企業の運営法が射影されるのですが、組織は、かならずしも、どちらかの パターン のみで構成される訳ではないでしょうね──だから、「部. 課」 とか 「課. 係」 (とか、ときには、「部. 係」 とか) が存在するのでしょうね。





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