2003年12月 1日 ロット・シリアルナンバー を使った在庫管理 >> 目次 (作成日順)
  ● QUESTION   ロット・シリアルナンバー を使った在庫管理は、どのような データ 構造になるのか。
  ▼ ANSWER   倉庫と品目と ロット から構成される 「在庫」 となる。
2008年12月16日 補遺  



● 事業の前提

 ロット は追跡できなければならない。すなわち、品目を製造するために使われたすべての資材の出所を追跡検証できるようにしておかなければならない。
 たとえば、薬品や繊維などの業種では、製品内に不良が検出されたら、不良資材を使って製造された製品のすべてを探し出す構造が用意されていなければならない。

 
● データ 構造

 品目
 {品目番号、部品名称、...}

 倉庫
 {倉庫番号、倉庫名称、...}

 製造指図
 {ロット番号、品目番号 (R)、製造日、色、数量、...}

 品目. 倉庫. 対照表
 {品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、ロット 番号 (R)、入庫日、数量、...}

[ 参考 ]
 「品目. 倉庫. 対照表」 は入庫日が定義された擬似的な 「入庫」 event である。
 したがって、製造指図のほうが 「入庫」 event に先行する (関係は 「1:1」)。
 したがって、ロット 番号が対照表のほうに複写される。

 
 たとえば、出庫があれば、以下のようになる。

 品目. 倉庫. 対照表
 {品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、ロット 番号 (R)、出庫日、数量、...}

 受払と残高を管理したいのであれば、以下のサブセット構造にすればよい。

 品目. 倉庫. 対照表
 {品目番号(R)、倉庫番号(R)、ロット 番号(R)、...}
      |
      × [ null(入庫日、出庫日) ]
      │
      ├ 入庫 {品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、ロット番号 (R)、入庫日、数量、...}
      │
      ├ 出庫 {品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、ロット番号 (R)、出庫日、数量、...}
      │
      └ 残高 {品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、ロット番号 (R)、数量、...}

 
● アルゴリズム

 品目番号が同じだが 「色」 の違う品目の 「在庫」 を調べたいなら、以下のような 「INDEX-only」 を使えば良い。

 (1) 製造指図に対して、
    CREATE INDEX (「品目番号 + 色 + ロット 番号」) [ 以下、INDEX-1 とする ]。

 (2) 品目. 倉庫. 対照表 (残高) に対して、
    CREATE INDEX (「品目番号 + ロット 番号 + 倉庫番号 + 数量」) [ 以下、INDEX-2 とする ]。

 (3) INDEX-1 に対して、
    「品目番号 + 色」 の値を入力して、ロット 番号を入手する。

 (4) INDEX-2 に対して、
    「品目番号 + [(1) で得た ] ロット 番号」 の値を入力して、倉庫番号と数量を入手する。

 



[ 訂正 ] (2008年11月19日)

 まず訂正しなければならない点は、本 エッセー で記述した 「構成」 は間違っているという点です。申し訳ない。
 本 エッセー を綴った 2003年には、たしかに、本文で記述した文法を使っていたのですが、その後に──たぶん、2006年頃に──、「対照表」 に関する文法を変更しました。変更された 「対照表」 文法は、以下のとおりです。

  (1) 構文論上、「resource」 (の束) として扱う。
  (2) 意味論上、(基本的に) 「event」 として解釈する。

 したがって、「対照表」 のなかに、「event」 の個体指定子が侵入する (ingression) 現象は起こらない。
 正しい構成は、「対照表」 のなかに指示された 「resource」 の個体指定子が 「event」 のほうに侵入して、以下のようになります。

 品目
 {品目番号、部品名称、...}

 倉庫
 {倉庫番号、倉庫名称、...}

 品目. 倉庫. 対照表
 {品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、...}

 製造指図
 {ロット番号、品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、色、数量、...}
      |
      × [ null (倉庫番号、色、入庫日) ]
      │
      ├ 製造指図 {ロット 番号、品目番号 (R)、色、数量、...}
      │
      └ 入庫 {ロット 番号、品目番号 (R)、倉庫番号 (R)、入庫日、数量、...}

 なお、2005年に出版した 「赤本 (データベース 設計論)」 では、「対照表」 の文法を 170 ページ で訂正していながら、本 エッセー で記述した例を 177ページ に そのまま流用して 「まちがった」 構成が記載されています
 申し訳ない。次の刷り (3 刷り) で訂正します。

 ちなみに、ロット を、もし標準積載量を記載した 「標準 ロット」 であるとすれば、「ロット」 は 「resource」 になって、実際に積載された ロット (実績) が 「event」 として記録されることになるでしょうね。



[ 補遺 ] (2008年12月16日)

 2008年 11月 19日に、本 エッセー を訂正していますので、さらに補遺を綴らなくてもいいでしょう。





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