2003年12月16日 作成 | 語・文・段落の関係 | >> 目次 (作成日順) |
2009年 1月 1日 補遺 |
「コミュニケーション 技術」、篠田義明 著、中公新書 篠田教授の著作は、本 ホームページ で推薦図書として (トップページ のなかで) 掲載していますが、文章作成を、単なる作文技術ではなくて、コミュニケーション 技術として考えて、以下の 3つの考えかたを提示して、文章の構成のしかたを提示しています。
(1) ワン・ワード/ ワン・ミーニング (1つの語 = 1つの意味) 篠田教授は 「(英文の) エクニカル・ライティング」 を専門となされており、アメリカ 人に対して、英文作成を教えていらっしゃるほどの文章作成の達人です。その達人が、「テクニカル・ライティング」 の技術を根底に置いて、日本人向けに、文章を構成する技術を執筆なさっています。ぜひとも、多くの人たちに読んでいただきたい書物です。 文章を構成する技術に関して、達人が執筆なさった書物を読んでいただければ、シロート が、それ以外に、なんら、言い足すことなどないのですが、篠田教授の著作を読んだ エンジニア (小生) が──拙い文章作成技術ではあるけれど、いくつかの著作を上梓した体験のなかから──、学習した点を述べながら、文章構成について考えてみたいと思います。
文章 (1つの主張) は、(集合論を学んでいる エンジニア の観点に立っていえば、) いくつかの文の集合ですから、「集める」 と 「並べる」 ということが関心事となります。いくつかの センテンス を集めて 1つの パラグラフ を構成して、いくつかの パラグラフ を集めて 1つの主張を構成します。そして、文を集めるときには、パラグラフ のなかで、センテンス の並びが大切ですし、1つの主張のなかでは、パラグラフ の並びが大切です。 1. センテンス のありかた
(1) ワン・ワード/ ワン・ミーニング (1つの語 = 1つの意味)
(2) ワン・センテンス/ ワン・アイデア (1つの文 = 1つの概念)
(1) ワン・パラグラフ/ ワン・トピック (1つの段落 = 1つの話題)
(2) パラグラフ (段落) の並べかた |
[ 読みかた ] (2009年 1月 1日)
文章作法は文を並べて意見を述べる作法なのだから、作文技術において重視されなければならない点は以下の 2点でしょうね。
(1) 1つの パラグラフ のなかで、センテンス を どのようにして並べるか。 ところが、私が読んだ 「作文技術」 と称した書物のほとんどが、遺憾ながら、1つの センテンス の書きかたに関する技術ばかりを詳細に説明していて、パラグラフ に関しての説明は、せいぜい、「序論・本論・結論」 あるいは 「起承転結」 で構成しなさいと大雑把に述べているにすぎなかった。それらの書物に較べて、篠田教授 (現 早稲田大学名誉教授) の著作は、パラグラフ の構成法を丁寧に述べている点が特徴点です。篠田教授の著作を ぜひ読んでみて下さい。 私が書物を いくつか執筆してきて作文上の配慮点として痛感した点は、章立て や 1つの章のなかでの パラグラフ の構成が意見を述べるときの最重要点だということでした。書物を執筆する前にも、私は作文技術に対して興味を抱いていたので──というのは、私は文学に興味を抱いていたので──、作文技術に関する書物を多く読んできましたが、書物を実際に執筆するようになって、いままで読んできた 「作文法に関する書物」 が さほど役に立たないことを実感しました。それらの書物のなかで役立ったのが以下の 2冊でした。
(1) 「コミュニケーション 技術」、篠田義明、中公新書。 「コミュニケーション 技術」 は、いまでも書店で入手できると思いますが、「文章作法 作文手帖 (改訂版)」 は版が古いので──私が所蔵している版は、昭和 42年 4版なので──、もう絶版になっているかもしれない。「文章作法 作文手帖 (改訂版)」 は、高校の国語で使う副読本なのですが [ 高校生向きに執筆されているのですが ]、われわれ職業人が作文を改めて学習する際には、うってつけの書物だと思います。もし、古本店に足を運ぶ機会があれば、「文章作法 作文手帖」 を探してみて下さい。 芸術的な文章では、「文体」 が命ですが、実用的な文章では、「文体」 は、かえって、邪魔でしょうね。ところが、書物を初めて執筆するときに、書物を執筆するという意気込みが溢れて、往々にして、個性的な 「文体」 を綴ろうとしがちです──私は、いままで 9冊の書物を執筆してきましたが、最初の著作から 5冊目までは、個性的であろうと意気込んで、いま読み返してみれば、叙情的な文体になっていて読むに耐えない (苦笑)。実用的な文の命は、「logical thread (論理の展開法)」 です。したがって、個性が主役ではないのであって、テーマ の運びかたが主役になるはずです──個性として現れるのは、「視点」 であって 「文体」 ではないという点が実用文の核でしょうね。そして、その観点に立って、本 エッセー では、「センテンス の ありかた」 「パラグラフ の構成法」 に関して、大切な点を列挙してみました。 |
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