2005年 6月 1日 周延しない サブセット (階の交叉) >> 目次 (作成日順)
  ● QUESTION   サブセット の階が交叉するが、どのように記述すればよいか。
  ▼ ANSWER   どちらかの階を外さなければならない。
2010年 6月16日 補遺  



[ 前提 ]

 1. 「製品」 に対して、以下の 2つの区分 コード を使っている。(注意)

  (1) 「良品・不良品」 区分 コード (良品か不良品のいずれかを示す。)
  (2) 「等級」 区分 コード (一級品、二級品、三級品のいずれかを示す。)

 
 2. 区分 コードのあいだには、以下の関係が成立する。

  (1) 「良品」は、「一級品」 を指示する。
  (2) 「不良品」は、「二級品または三級品」 を指示する。

 
(注意) この 「製品」 は、製品 コード を付与された entity ではなくて、最終製造物として、「対照表」 を使って記述されている、とする。

 
[ データ 構造 ]

 いずれも、区分 コード ですから、文法規約に従って、サブセット を作ります。
 その際、「良品・不良品」 区分 コード も「等級」 区分 コードも、「構造」 のなかで、宣言して、サブセット を作ります。

   製品
   |
   = 「良品・不良品」 区分 コード
   │
   ├{良品}
   │  │
   │  =「等級」 区分 コード
   │  |
   |  └{一級品}
   |
   └{不良品}
      |
      = 「等級」 区分 コード
      │
      ├{二級品}
      |
      └{三級品}

 
 以上の「構造」 は、構造として、1つの論理的な規則違反を示しています。
 それは、「良品・不良品」 区分 コード と「等級」 区分 コード が 「交叉」 して、「構造」 を作ることができない、という点です。

 というのは、「良品」 と 「一級品」 が、包摂関係のなかで、「1 対 1」 になって、同じ外延 (集合) を示している、という点です。すなわち、「良品」 は、「一級品」 の エリアス (alias) であって──同じ個体を指示していて──、サブセット を指示する記号ではない、ということになります。

 したがって、「良品・不良品」 区分 コード は、「構造」 を作るための コード として作用していない、ということになります。つまり、「良品・不良品」 区分 コード は、サブセット を作る コード ではない、ということです。
 したがって、「良品・不良品」 区分 コード の扱いとして、以下の 3つを考えることができます。

 (1) (コード 体系上、使われていても、) 実装しない。
   「一級品、二級品、三級品」 区分 コード のみを実装する。(参考)

 (2) 実装するなら、VE とする。

 (3) 実装するなら、「良品・不良品」 区分 コード を 「resource」 とする。
   そして、製品との対照表を作る (「製品. 良品・不良品区分. 対照表」)。

 
 ただし、VE (Virtual Entity) として、実装しても、VE は、entity としての指示をふくんでいるので、同じ個体 (製品) が、2つの entity として記述されることは、事実的な 「F-真」 概念に対する意味論的違反です。

 また、「製品. 良品・不良品区分. 対照表」 を作っても、その対照表は、F-真を示さない──つまり、なんらかの 「event」 を示さない──ので、「構成表 (validation-rule 用の真理値表)」 です。したがって、TM では、実装しなければならない、という対照表ではない──実装していれば、「便利である」 という操作性の観点で扱われるのであって、データ 構造上、「有意味な」 データ ではない。

 
 したがって、意味論的な原則 (TM の原則) では、「良品・不良品」 区分 コード は、実装しないのが正しい。ただ、「データ 操作の簡便性」 の観点に立って、「良品・不良品」 区分 コード を、VE あるいは 「resource」 として扱うことを、小生は黙認している

 
(参考) 「良品・不良品」 は、「情報」 (レポート) として プリント する際、「一級品・二級品・三級品」 区分 コード を読み替えるかもしれないですね。

 



[ 補遺 ] (2010年 6月16日)

 取り立てて補足説明はいらないでしょう。

 ただ、本 エッセー のなかの以下の 「注意」 を把握していただいているかしら。

   (注意) この 「製品」 は、製品 コード を付与された entity ではなくて、最終製造物として、
        「対照表」 を使って記述されている、とする。

 もし、「製品」 が entity ──すなわち、「製品番号」 を付与された個体──であれば、「一級品・二級品・三級品」 区分 コード も 「良品・不良品」 区分 コード も 「製品」 には帰属しないでしょう。言い換えれば、「一級品・二級品・三級品」 区分 コード も 「良品・不良品」 区分 コード も 「製品」 に対する VE として扱うことになるでしょうね。というのは、それらの 区分 コード で示される状態は、「関係」 のなかで起こる事態であって、「製品」 そのもの-の性質ではないから。





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