2005年 8月16日 作成 文を綴るための辞典 (英語の文法・語法) >> 目次 (作成日順)
2010年 8月16日 補遺  


 
 TH さん、きょうは、「文を綴るための辞典 (英語の文法・語法)」 について考えてみましょう。

 
 私は、英語の専門家ではないので、文法と語法のちがいを的確に定義することができないのですが、書物として、文法書もあれば語法書もあるので、われわれ英語の シロート は、文法書も語法書も揃えておいたほうが無難でしょうね。基本的な文法・語法は、英和辞典・英英辞典のなかにも記述されているので、文法書や語法書を、それぞれ、単独に買うこともない、と思われるのですが、実際に、英文日記を綴ってみれば、それらの書物が、極めて、役立つことがわかるでしょう。

 英和辞典は、「英語の単語が示す概念に対応する日本語を与える」 ことが第一の目的なので、文法・語法は、(的確に記述されていても、) 補助的な説明にならざるを得ないでしょうね。
 たとえば、「plan」 という単語に対して、後続する前置詞を調べてみてください。試しに、(電子辞書の) 小学館 ブログレッシブ 英和中辞典を使って私は調べてみました。豊富な役立つ情報が記載されています。ただ、それらの情報を、すべて、読みながら、「plan+前置詞」 を探さなければならない。「plan」 という単語そのものについて、丁寧に調べるときには、そういうふうに辞書を読むのですが、英文日記を綴っている途中で そういうふうに調べていたら、英文日記を綴るために そうとうな時間を費やすことになってしまい、非効率ですね。

 英文日記を綴っていて、「plan」 の後続として 「of」 を使って良いのかどうか、という点を、私は戸惑いました。
 私が、いつも、てもとに置いて参照している語法辞典・文法辞典を使って、「plan」 を調べてみました──「Dictionary of English Usage (by Arnold L. & Brian W.W., Welsh M.A.)」 と 「A Grammar of English Words (by Palmer H.E.)」。
 Arnold's は、以下のように、記述しています。

 plan of + ing-form. Your 〜 of emigrating to Canada is absurd. (unc.)

 「unc.」 は、この辞典では、「uncommon」 の略語として使われています。
 つまり、「plan of + ing-form」 という言いかたは、間違いではないが、「慣用的ではない」 ということですね。ただし、「plan of + 名詞」 は、慣用です。たとえば、Palmer's では、「drawing of building or town, etc」 として、以下の例文を記載しています──この 「plan」 は、「見取り図」 という意味ですね。

 Show me the plan of the building.

 そして、Palmer's でも、「plan of + ing-form」 の文例・句例は記載されていない。

 たとえば、「〜という リクエスト をした」 という言いかたを英語に翻訳する際、まず、「request」 という単語が浮かぶでしょう。そして、次に、「request」 に後続する詞 (ことば) を考えるでしょう。「〜という」 に対応して 「of」 とか 「that」 を使うことができるかどうか、という点が気になりますね。Arnold's では、「request」 に関して、以下のように記述されています (全文を引用しますが、「語形と例文」 のみしか記載されていない簡潔な記述です)。

 request v. tr. We 〜 the honour of your company.
 request s.th. from s.o. He 〜ed a loan from me.
 request s.th. of s.o. I 〜 a favour of you.
 request + to-infin. He 〜ed to be informed immediately.
 request of s.o. +to-infin. He 〜ed of me to appear at the police station on his behalf.
 request s.o.+ to-infin. I 〜 you to forward the goods to Mr. B.
 request that + true subjunct. I 〜 that the error be corrected.
 request that + subjunct. equiv. He 〜ed that the error should be corrected.
 be requested The presence of all members is 〜ed.
 be requested + to-infin. Passengers are 〜ed to show their passports. You are 〜ed not to touch the objects.
 be requested + that-cl. It is 〜ed that nobody should leave the room.
 (subjunct. equiv.) It is 〜ed of him that he should throw his influence into the balance.

 request n. He did it at my 〜. Your request for a licence was made too late.
 request + to-infin. My 〜 to see the president was turned down.

 青色で記述された──Arnold's では、斜体になっていますが──見出しのなかから、「request of」 を探せば、すぐに、「of」 の使いかたを知ることができます。どうやら、「request」 が動詞として使われて、「of」 といっしょになれば、「of」 は、「人」 に対して使うようです。そして、「〜という」 に対応する語は、「for」 のようですね。

 ちなみに、「除け者にしないでね。わたしにも、すぐに教えてね (I requested to be informed immediately)」 とか、「言われたように、やった (He did it at my request)」 とか、「いまさら、言われても (Your request was made too late)」 とか、「言ってみたけれど、駄目だった (My request was turned down)」 という言いかたは、英文日記のなかで、そのまま、使える言いかたですね。

 ことばの習得では、語法というのは膨大な使用例のなかで体得されるので、英語のように われわれ日本人が、ふだん、使わない──したがって、多数の使用例を直接に知らない──状態であれば、なかなか、習得しにくいでしょう。そのために、どうしても、語法辞典を そばに置いて、逐一、語法を確認するしかないでしょうね。



[ 読みかた ] (2010年 8月16日)

 本 エッセー は、前回の エッセー を補足する役割を担っています。というのは、われわれ日本人が英文を綴る際に、文法書・語法書を一切使わないというのは、そもそも、有り得ないでしょう──逆に言えば、文法書・語法書を参照しなければ、まともな英文を綴れないでしょう。したがって、もし、英作文を学習するのであれば、ちゃんとした文法書・語法書を てもと に置いておくべきでしょうね。なお、文法書・語法書については、本 ホームページ 59ページ・63ページ (「読書案内」) を参照してください。





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  佐藤正美の問わず語り