2006年 2月 1日 作成 | セット と 概念的 スーパーセット | >> 目次 (作成日順) |
2010年 3月 1日 補遺 |
TM’──TM ではない点に注意されたい──では、「みなし概念」 として以下の 2つが用意されている。
(1) みなし entity Entity である = Df 認知番号を付与された対象である。 すなわち、「みなし entity」 概念は、認知番号が付与されていない対象であっても、擬似 entity として セット (集合) を作る考えかたである。 TM は、意味論 (指示規則) を前提にして entity を認知して、entity を構文論 (文法) に従って組み合わせて 「構造」 を作る体系である。TM の アウトプット (作図された「構造」) に対して、いっそう、意味論 (指示規則) を強く適用したのが TM’ である。TM’ では、認知番号を付与されていない対象でも、内包 (「性質」) を判断規準にして外延 (「みなし entity」) を作る。現象的には、以下の 4つが基本形になる。
(1) resource のなかに、event 的性質が混入している。 「みなし entity」 を データ 解析の観点から言えば、(3) が重視されるが、「みなし entity」 を導入した理由は、(1) にある。(1) の典型的な現象が、たとえば、以下の例である。 {従業員番号、従業員名称、・・・、入社日、・・・}. TM では、entity を 2種類 (event と resource) に類別して、以下のように定義している。
event である = Df 性質として日付が帰属する。 したがって、上述した 「従業員」 を例にすれば、従業員のなかに入社日が帰属していることは定義に反する (矛盾になる)。コッド 関係 モデル の関数従属性から言えば、「従業員」 のなかに入社日を構成しても間違いにはならないが、意味論 (event と resource) の前提を導入した TM では違反になる。したがって、TM の定義に反しないように、entity を 「純化」 するために、「みなし entity」 概念を導入した。 「みなし概念」 のもう 1つである 「概念的 スーパーセット (みなし スーパーセット)」 は、事業過程 (管理過程) を改善するために導入された概念である。TMD (TM Diagram) を作成したあとで、「事業の観点から判断して、構造が妥当かどうか」 を検証するために導入された概念である。 「概念的 スーパーセット (「みなし スーパーセット」 とも云う) は、「概念的」 という形容詞が付与されているように、そのもの-の性質は記述されない。つまり、家族的類似性のある セット 群を括るために導入された総称 (label) であって、数学的な クラス 概念ではない。たとえば、以下を考えてみる。
{出荷先番号、出荷先名称、・・・}. 以上の セット (entity) に対して、たとえば、「取引先」 という概念的 スーパーセット を作る。
[ 取引先 ] 概念の階を 1つ上位にして、概念的 スーパーセット を作ったら、次に、概念的 スーパーセット を起点にして、それぞれの セット の関係を検証する。上昇したら、ふたたび、下降するというのが概念検討の常道である。
[ 取引先 ] たとえば、「出荷先」 と 「請求先」 を以下のように検証する。
(1) 2つの セット は、いちぶ、交わる。
同じように、「入荷先」 と 「支払先」 との関係を検証する。さらに、「出荷先」 と 「入荷先」 との関係を検証し、「請求先」 と 「支払先」 の関係を検証する。そういうふうに検証すれば、家族的類似性を示す entity のあいだで、類似点と相違点を対比できるし、さらに、データ の重複度なども検証できる。
{商品番号、商品名称、・・・、商品単価、・・・}. 以下のように、「単価」 として、「概念的 スーパーセット」 を作る。
[ 単価 ] 概念の階を 1つ上位にして、概念的 スーパーセット を作ったら、次に、概念的 スーパーセット を起点にして、それぞれの アトリビュート の関係を検証する。
[ 単価 ] すなわち、「単価」 が、どの entity で使われているのかを確認して、それぞれの 「単価」 が どのような 「意味」 として使われているのかを検証する。さらに、「単価」 の使いかた次第では、「単価」 に対して、認知番号を与えて、独立した entity として、「単価」 戦略 (「価格」 体制) を考慮したほうが良いかどうかを ユーサ゛ と協議するかもしれない。 また、「概念的 スーパーセット」 は網羅性を検証するために使うこともある。たとえば、以下を考えてみる。
{新入社員研修番号、研修実施日、・・・}. 以上の研修に対して、「教育」 という 「概念的 スーパーセット」 を考えてみる。
[ 教育 ] 次に、「教育」 という観点からみて、研修体制が網羅されているのかどうかを検証する。
[ 教育 ] たとえば、「中途採用者」 に対する研修は考慮されていないのかどうかを確認する。 以上に述べてきたように、「概念的 スーパーセット」は、事業過程 (管理過程) を改善するために導入された概念であって──コンサルテーション (潜在的問題点の感知、およびそれに対する ソリューション 提示)の一環であって──、数学的な クラス 概念ではない点に注意されたい。 |
[ 補遺 ] (2010年 3月 1日)
取り立てて補遺はいらないでしょう。 スーパーセット は、数学的な クラス 概念を借用した概念ですが、T之字の記法において、右側 (「性質」 を記述する欄) を記入しないので、数学的 クラス 概念ではない、という点に注意しておいてください。 |
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