2006年 3月 1日 resource の独立管理 >> 目次 (作成日順)
  ● QUESTION   resource は全社共通の テ゛ータ なので、event と切り離して管理すべきではないか。
  ▼ ANSWER   resource を event から切り離して管理する意義はない。
2011年 3月16日 補遺  



 resource が 「全社共有の テ゛ータ」 であるというのは、おおざっぱな思い込みにすぎない。すべての resource [ ∀xP(x) ] が 「全社共有の テ゛ータ」 であるのではなくて、いくつかの [ ∃xP(x) ] resource がそうであるというにすぎない。たとえば、シ゛ョフ゛ショッフ゜ (ワークセンター、作業区) は、生産管理では、中核概念の 1つであるが、販売管理では、管理対象 (entity) にはならない。
 ほかにも、生産管理のなかで製造原価とか棚卸資産 (仕掛品) などは、生産管理のなかで認知・測量されるが、たとえば、原価は、生産管理のなかで使う シミュレーション 用の原価もあれば、財務管理に使う原価 (標準原価) もある。そして、シミュレーション 用の原価は、標準原価と切り離して管理することは無意味であるし、もし、標準原価を 「全社共有の」 resource とするのであれば、シミュレーション 用の原価は、local な resource として扱わなければならない。もし、そういう管理を認めるのであれば、resource に対して、「global と local」 という管理の階を導入しなければならないので、resource の管理が、かえって、錯綜してしまう (「管理のための管理」 に陥ってしまう)。

 また、生産管理の工程では、「自己消費型の」 サフ゛ 組立品が認知されていることもあるが、ライン 上で作られるので 「一時的な」 サフ゛ 組立品とも云う。サフ゛ 組立品は部品番号を付与されていないことが多いが、MRP の対象として部品番号を付与しなければならない。すなわち、「部品」 という resource として扱われることになる。この 「一時的な」 サフ゛ 組立品を、「全社共通の」 resource として、event から切り離して管理する有効性はない。

 あるいは、生産工程を効率的に運営するために、フ゛ラケット や ナット や ホ゛ルト などを モシ゛ュール 化して 「仮の部品番号」 を付与することが多い。この 「仮の部品番号」 は、マスター・スケシ゛ュール のなかで使われるが、設計や製造のなかでは使われない。この 「仮の部品番号」 (たとえば、キット 番号) は、部品類をまとめて扱い、部品の種類を減少するために使われ、キット 番号は、(「合意」 で導入されたのであって、) 現実に存在する個々の部品とは対応しない。この 「仮の部品番号」 を 「全社共有の」 resource とする意義はない。かといって、(「仮の部品番号」 を外した) 部品番号のみを 「全社共有の」 resource とすれば、マスター・スケシ゛ュール (購買過程・生産過程・販売過程が共有している計画表) には、部品番号と 「仮の部品番号」 が記載されるにもかかわらず、「仮の部品番号」 が 「部品」 resource から排除されているというのは妥当ではない。

 こういう 「仮の部品番号」 は、たとえば、親品目の製造計画が変更になっても、(個々の) 部品計画を変更しないでも良いという利点があるし、もし、これらを (生産管理が使う部品番号であって、) 「全社共有の」 resource ではないとすれば、部品構成が マスター・スケシ゛ュール に対応しないことになってしまうが、「仮の部品番号」 は、製造工程が効果的・効率的に運営されるために導入された概念・技術であって、「全社共有の」 テ゛ータ ではない。

 resource と event は、それぞれ、マスター・ファイル と トランサ゛クション・ファイル に対応する概念であるというような 「おおざっぱな」 定義を平然と使ったり、あるいは、resource というのは 「全社共有の資産」 であるというような思い込みで、テ゛ータ 構造を作れば、テ゛ータ 構造は妥当な構造にはならない。たとえば、そういう 「あいまいな」 定義であれば、「製番」 は、event なのか resource なのかという判断ができない。

 さらに、TM では、resource どうしのあいだでは対照表を作る。そして、対照表は、event (の原型) として認知されることもあれば、構成表として認知されることもある。resource を切り離して作図したら、TMD のなかで、対照表と event との関係が見て取れない。たとえば、TMD では、リレーションシッフ゜ の線が多いので、リレーションシッフ゜ の線を排除するために、resource と event を切り離して記述できるようにしてほしいという意見もあるが、以下の例を考えてみてほしい。


(1) event としての対照表


 ┌─────────────────┐     ┌─────────────────┐
 │       従業員      R│     │       部門       R│
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │従業員番号   │従業員名称   │     │部門コード   │部門名称    │
 │        │        │>─○─┼┤        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │         │        │
 └────────┴────────┘  │  └────────┴────────┘
                      │
                      │
             ┌────────┴────────┐
             │   従業員. 部門. 対照表    │
             ├────────┬────────┤
             │従業員番号(R)  │        │
             │部門コード(R)  │        │
             │        │        │
             └────────┼────────┘
                      │
                      │
             ┌────────┴────────┐
             │       研 修      E│
             ├────────┬────────┤
             │研修番号    │研修日     │
             │従業員番号(R)  │        │
             │部門コード(R)  │        │
             │        │        │
             └────────┴────────┘


(2) 構成表としての対照表


 ┌─────────────────┐     ┌─────────────────┐
 │       従業員      R│     │       部門       R│
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │従業員番号   │従業員名称   │     │部門コード   │部門名称    │
 │        │        │>─○─┼┤        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │         │        │
 └────────┼────────┘  │  └────────┼────────┘
          |           │           |
          ┼           │           ┼
          |  ┌────────┴────────┐  |
          |  │   従業員. 部門. 対照表    │  |
          |  ├────────┬────────┤  |
          |  │従業員番号(R)  │        │  |
          |  │部門コード(R)  │        │  |
          |  │        │        │  |
          |  └────────┴────────┘  |
          |                       |
          |  ┌─────────────────┐  |
          |  │       研 修      E│  |
          |  ├────────┬────────┤  |
          |  │研修番号    │研修日     │  |
          └─<┤従業員番号(R)  │        ├>─┘
             │部門コード(R)  │        │
             │        │        │
             └────────┴────────┘

 
 (1) と (2) では、意味がちがう。(1) は 「配属」 の直後に研修が実施された意味を示しているが、(2) は 「どの部門の、どの従業員が」 研修に参加したのかを示している。それらを、以下のように、resource と event を切り離して作図されたら、意味を読めない。


(3) resource と event を切り離した構造


 ┌─────────────────┐     ┌─────────────────┐
 │       従業員      R│     │       部門       R│
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │従業員番号   │従業員名称   │     │部門コード   │部門名称    │
 │        │        │>─○─┼┤        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │         │        │
 └────────┴────────┘  │  └────────┴────────┘
                      │
                      │
             ┌────────┴────────┐
             │   従業員. 部門. 対照表    │
             ├────────┬────────┤
             │従業員番号(R)  │        │
             │部門コード(R)  │        │
             │        │        │
             └────────┴────────┘

             ┌─────────────────┐
             │       研 修      E│
             ├────────┬────────┤
             │研修番号    │研修日     │
             |従業員番号(R)  │        |
             │部門コード(R)  │        │
             │        │        │
             └────────┴────────┘

 
 TMD では、event と resource は同じ 1つの図上に記述されなければならない。
 そして、もし、resource のみを一覧したいのであれば、(それは、作図の論点ではなくて--言い換えれば、構造を作るための推論の論点ではなくて--) DD (Data Dictionary) あるいは リホ゜シ゛トリ が搭載している管理機能 (印刷機能) の論点である。

 



[ 補遺 ] (2011年 3月16日)

 取り立てて補足説明はいらないでしょう。





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