2006年 4月16日 作成 リレーションシップ の検証表 >> 目次 (作成日順)
2010年 5月16日 補遺  


 
 TMD (TM Diagram) は、「構造」 を記述する図である。TMD には、個体、個体の性質および (個体のあいだに成立している) 関係を記述するが、TMD のみが、システム を作るための ドキュメント ではない。TMD ばかりが注目されているようだが、TM を補助する ドキュメント として、以下が用意されている。

  (1) アトリビュート・リスト
  (2) リレーションシップ の検証表
  (3) キー (index-key) の定義表
  (4) アルゴリズム の指示書

 前回は、アトリビュート・リスト について述べた。今回は、「リレーションシップ の検証表」 について語る。なお、「リレーションシップ の検証表」 は、かつて、本 ホームページ の 69ページ で説明しているので、本節では、いくつかの点を再確認したい。

 「リレーションシップ の検証表」 は、リレーションシップ の網羅性を検証するために使う。さらに、いままで、リレーションシップ の生成されていなかった事態に対して、もし、リレーションシップ を作れば、新たな 「event」 (あるいは、構成表) を作ることができるので、事業過程・管理過程の再編成を考えることができる。

  (1) 「リレーションシップ の検証表」 は、「情報 (画面、帳票など)」 ごとに作成する

  (2) 「リレーションシップ の検証表」 は、(entity の) マトリックス 表である。

   (2)-1 マトリックス 表の縦列・横列には、(「情報」 のなかに記述されている) entity を転記する。

   (2)-2 マトリックス 表のなかに対角線をひいて、対角線の下側を使う。

 以下の簡単な例 (69ページ で使った例) で、「リレーションシップ の検証表」 の使いかたを述べる。



具体例:以下の画面例を使う。
受注入力画面
顧客番号:××××
受注番号:××××
顧客名称:××××××××××
受注日 :××××-××-××
品目コート゛ 品目名称 受注数 品目単価
×××× ×××××××××× 9999,999


リレーションシップ の検証表
  顧 客 受 注 品 目
顧 客 再帰?
受 注 再帰?
品 目 再帰?


 

 「リレーションシップ の検証表」 は、以下のように使う。

  (1) 「情報 (画面、帳票など)」 のなかに明示されている リレーションシップ を記述する。
    (「リレーションシップ の検証表」 のなかに、○ を使って記述する。)

  (2) ○ の付与されなかった--すなわち、明示されていない──リレーションシップ を検討する。

   (2)-1 それらの リレーションシップ は、現実に成立しているのかどうか。

   (2)-2 現実に成立していないなら、認知したほうが良いのかどうか。

 
 「明示されている リレーションシップ」 とは、「情報 (画面、帳票など)」 のなかに記述されている認知番号 (××番号、×× コード) を ○ で囲んで──すなわち、entity を示す認知番号を ○ で囲んで──、認知番号を、順次 (上から下へ、左から右へ)、辿ることを云う。たとえば、上述した例では、「顧客番号 → 受注番号 → 品目 コード」 の経路が リレーションシップ を明示的に示している。すなわち、以下の 2つの リレーションシップ が成立している。

  (1) 顧客と受注。
  (2) 受注と品目。

 「リレーションシップ の検証表」 は、縦列ごとに検討する
 たとえば、上述した例では、以下の 3つの縦列を検討することになる。なお、文中、○ が付与されているのは、明示的な リレーションシップ を示している。

  (1) 顧客 → 顧客、受注 (○)、品目。
  (2) 受注 → 受注、品目 (○)。
  (3) 品目 → 品目。

 次に、リレーションシップ の網羅性を検討する。
 すなわち、「情報」 のなかで明示されていない以下の リレーションシップ を検討する。

  (1) 顧客と顧客の再帰は可能か。
  (2) 顧客と品目の関係は可能か。
  (3) 受注と受注の再帰は可能か。
  (4) 品目と品目の再帰は可能か。

 たとえば、「顧客」 が、もし、法人 (企業組織体) であれば、「顧客と顧客の再帰」 として、本社・支店という構成があるのかどうか、あるいは、「品目」 に対して、「品目と品目の再帰」 として、もし、受注された品目が品切れであれば、代替品目の構成があるのかどうかという点を エンドユーザ に確認すれば良い。

 ちなみに、「リレーションシップ の検証表」 を 「情報 (画面、帳票など)」 ごとに作る理由は、「文脈」 のなかで、リレーションシップ を検討すれば、「意味」 を把握しやすいからである。
 「リレーションシップ の検証表」 の具体的な作成法については、以下の書物を参照されたい。

   拙著 「データベース 設計論──T字形 ER」 (118 ページ)。






[ 補遺 ] (2010年 5月16日)

 取り立てて補遺はいらないでしょう。





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