佐藤正美の著作 「IT コンサルタント の スキル」 を教材にして、以下の キーワート゛ が、どういうふうに関連しているのか、という点を体系立てて説明しました。
(134 ヘ゜ーシ゛ - 147 ヘ゜ーシ゛)
総資本、他人資本、自己資本、払込資本、評価替資本、受贈資本、稼得資本、
資本充実の原則、資本剰余金、利益剰余金、資本準備金、利益準備金/
債権者保護 (商法)、投資家保護 (証取法)/
自己株式 (金庫株)、資本利益率、ストック・オフ゜ション (自己株式方式、ワラント 方式)/
収益、費用、利益、損失、粗利、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、
益金、損金、租税公課、実効税率、税効果会計/
費用配分の原則、費用収益対応の原則、フ゜ロタ゛クト 対応、ヒ゜リオト゛ 対応/
現金主義、発生主義、実現主義、未実現収益、保有損益、監査証跡、
引渡基準、出荷基準/
委託販売 (仕切精算書到着日基準)、試用販売、予約販売、割賦販売、
長期請負工事 (工事完成基準、工事進行基準)/
保守主義 (収益=実現主義、費用=発生主義)、保守主義 (運転資本、キャッシュ)/
資産 (収益獲得力)、時価 (市場価格、割引現在価値)、キャッシュフロー計算書、
FCF (Free Cash Flow)
以上の キーワート゛ が、どういうふうに関連しているか、という体系は、tm-net に アッフ゜ロート゛ された 「講義録」 を参照して下さい。
(1) 自己株式 (金庫株)
1994年の商法改正で、自己株式取得が認められ、証取法でも、TOB (株式公開買い付け) による自己株式取得が認められた。さらに、1997年の商法改正 (特例法) では、(株主総会ではなくて、) 取締役会の決議があれば、自己株式を消却できるようになった。
(2) 土地再評価法
1998年 3月、議員立法として、「土地再評価法」 が施行された。土地を時価で評価して、再評価益を貸借対照表上に [ 負債として ] 計上することを認める法律である。法律の対象とされたのは金融機関である。というのは、適用趣旨は [ 政策的に ] 自己資本比率を改善することにあった。1998年 3月期に再評価を実施した銀行の数は過半数を超えた。
その後 (1999年 3月に) 改正され、(再評価の実施期限を延長して、) 再評価益の 60%を 「資本として」 計上できるようにして、資本計上した 3分の 2を上限として自己株式の取得消去をできる、とされた。さて、この 「改正」 は、なにを意味しているのか、と言えば、「負債 (他人資本) として」 扱えば、ROA (総資本利益率) が低下するので、「資本組み入れ」 にして、資本計上した 2/3 まで自己株式を取得消去すれば、ROA も ROE も改善することができるからである。したがって、(会計理論上の論点ではなくて) 「政策的な」実施であった。
(3) キャッシュ、運転資本、キャッシュフロー、現金主義、収益獲得力
「キャッシュ」 の意味は、現代では、現金 (当座預金や普通預金も対象となるが) と現金同等物 (短期の定期預金など) とされているが、歴史的に観れば、以前では、「正味運転資本」 のことであった。とすれば、「正味運転資本」 を 「堅実に (保守主義の原則に則って)」 計算するには、流動資産となる キャッシュ の流入を低めに評価して、流動負債となる キャッシュ の流出を多めに評価することは当然である。
すなわち、結果として、流動資産に対して低価主義を適用していることになる。低価基準は、キャッシュフロー の観点のなかで使われてきた 「慣習」 なのである。とすれば、キャッシュフロー を重視する IAS が (資産会計で述べたが、) 低価基準を 「強制適用」 することは理解できる。
そして、この考えかたは、損益計算書を (「資金繰り表」 のように、) 現金主義の観点に立って作成するのみではなくて、資産の性質 (定義) の 「収益獲得力 (割引現在価値)」 という キャッシュフロー 的見かたと一致するのである。
(4) 経常利益と FCF
企業の成績を いちばんに表しているのが、損益計算書上、経常利益であり、かつ、キャッシュフロー 上、FCF である。
さて、いままで、財務会計の基礎を学習してきました。次回から、いよいよ、応用編として、個別会計 (キャッシュフロー 計算書、年金会計、リース 会計、テ゛リハ゛ティフ゛、ヘッシ゛、税効果会計、連結会計、外国為替会計、減損会計) を学習します。
次回は、148ヘ゜ーシ゛ (キャッシュフロー 計算書) から読み下します。