新会社法と いわゆる JSOX法 (金融庁「財務報告に係わる内部報告」) について、まとめてみました。内部統制に関して、以下の文献を (小生 [ 佐藤正美 ] は) 読みましたが、今回、金融庁 「財務報告に係わる内部統制」 を鳥瞰しました。
- 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」 (金融庁)
- 「コーポレートガバナンス および リスク 管理・内部統制に関する開示・評価の枠組みに
ついて--構築及び開示のための指針--(案)」 (経済産業省)
- 「同、参考資料」 (経済産業省)
- 「システム 監査基準」 (経済産業省)
- 「システム 管理基準」 (経済産業省)
新会社法の特徴を以下の 8点としてまとめました。
(1) 有限会社法の廃止と株式譲渡制限会社制度の改正
(2) 定款自治
(3) コーポレート・ファイナンス の自治拡大
(4) 合同会社 (LLC) 制度
(5) 会計参与制度
(6) 組織再編行為の自由化
(7) 剰余金分配手続きの自由化
(8) 法体系の見直しと現代語化
以下の キーワート゛ が、どういうふうに関連しているのか、という点を鳥瞰しました。
有限会社、確認会社、株式の譲渡制限、大会社/
取締役・取締役会、監査役、会計参与/
募集株式の発行 (新株発行とは云わない)、発起設立・募集設立、
現物出資 (検査役調査の範囲縮小)、新株予約権、株式分割、株式の無償割当て、
最低資本金制度の廃止、種類株式、端株制度の廃止/
譲渡制限株式、「公開会社」、取得請求権付株式、取得条項付株式、全部取得条項付株式、
「子会社」の概念拡大、種類株主総会/
社債管理者、社債権者集会、社債の銘柄統合/
閉鎖基準 (非譲渡制限と譲渡制限)、規模基準 (大会社と中小会社)、
機関設計の基本規約/
会計監査人、監査役 (監査役会、監査委員会)、会計参与/
株主総会の決議 (普通決議、特別決議、特殊決議)/
譲渡制限会社の取締役・監査役の任期、取締役の解任決議 (普通決議)/
内部統制 システム の決定・開示、監査役設置会社の内部統制 システム、
委員会設置会社の内部統制 システム (委員会等設置社会とは云わない)/
構成員課税、LLC (合同会社) と LLP (有限責任事業組合)/
簡易組織再編、略式組織再編、株式交換、株式移転、会社分割、物的分割、人的分割、
事業譲渡 (営業譲渡とは云わない)/
剰余金の分配 (「利益の分配」 とは云わない)、
分配可能額 (配当可能限度額とは云わない)、
剰余金の分配規制 (資本金、準備金、剰余金、純資産額、「剰余金の分配 < 分配可能額」
「剰余金の分配 < 300万円 (かつての有限会社の資本金)」)/
資本金の額の減少等、資本金≠株数の減少/
計算書類 (貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)、
事業報告・附属明細書は計算書類ではない、
臨時計算書類 (いつでも、剰余金の分配ができる)/
電磁的記録、電子公告
なお、先月 (平成18年 2月 7日)、会社法に関して、以下の省令が公布された。
- 会社法施行規則
- 会社計算規則
- 電子公告規則
新会社法の以上の説明を前提にして、いわゆる JSOX 法を鳥瞰しました。
「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」 は COSO フレームワークを踏まえて、新たに、「IT 統制」 を加味しています。「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」 を駆け足で (笑) 読み下しました。
1. 内部統制の基本的要素
1-1. 統制環境
1-2. リスクの評価と対応 (全社的リスク、業務別リスク)
1-3. 統制活動
1-4. 情報と伝達
1-5. モニタリング (日常的 モニタリング、独立的評価 [ 定期的、臨時的 ])
1-6. IT への対応 (IT環境への対応、ITの利用及び統制)
2. 内部統制の限界
3. 内部統制に関係する者の役割と責任 (内部監査人)
4. 財務報告に係る内部統制の評価及び報告、監査
5-1. 財務報告に係る内部統制の有効性の評価は、原則として、連結ベースで行う。
5-2. 経営者による内部統制評価は、期末日を評価時点として行う。
5-3. 経営者は 「内部統制報告書」 を作成しなければならない。
5-4. 内部統制監査は、同一の監査人により、財務諸表監査と一体として行われる。
5-5. 内部統制報告書に対する意見は、内部統制監査報告書により表明される。
新会社法・内部統制の キーワート゛ が、どういうふうに関連しているか、という体系は、tm-net に アッフ゜ロート゛ された 「講義録」 を参照して下さい。
ちなみに、「財務報告に係る内部統制」 の基準書では、以下の文が記述されています。
具体的に内部統制を どのように整備し、運用するかについては、個々の組織の
置かれた環境や事業の特性等によって異なるものであり、一律に示すことは
できない。
すなわち、それぞれの企業が、みずからの事業の 「事実を正確に観て」 対応しなければならない。しかしながら、内部統制に関して 「原資料」 を読まないで、キーワード のみを生半可に知って、まるで、内部統制の 「パターン (pattern)」 があるかのように 「パターン 探し」 に奔走して右往左往している人たちが多いようです (苦笑)。脚下照顧。