「中沢家」 の TMD (TM Diagram) を、前回からひき続いて、推敲しました。
まず、「semantic proofreading」 の手続きに関して、以下を まとめました。
(1) event を読む (「正常事業循環」 を把握する)。
(1)-1. event の 「並び」 を検討する。
(1)-2. event どうしの 「対応性」 を検討する。
(2) resource を読む。
(2)-1. 家族的類似性のつよい概念を検討する。
(2)-2. resource どうしの 「相性 (対)」 を検討する。
次に、「T字形」 の記法に関して、以下を確認しました。
定義
┌────────┐
│ ↓
┌───┴─────────────┐
│ entity │
├────────┬────────┤
│認知番号(主語)│述語(性質) │
│ │ │
│ │ │
│ │ │
│ │ │
└────────┴────┬───┘
↑ │
└────────┘
生成
すなわち、「T字形」 の記法は、以下の 2つの見かたができます。
(1) 認知番号を付与されて認知された entity の定義が右側に記述される。
(しかじかの entity は、かくかくの性質をもつ。)
(2) 右側 (述語) を f (x) と考えて、それらの性質から entity を集合論的に生成する。
(かくかくの性質が充足されたら、しかじかの entity を認知できる。)
したがって、「T字形」 では、原則として、右側が ブランク になっている事態を嫌います。
というのは、entity を定立できないから。
今回、「社内版」 が resource として示されていました。そして、性質は ブランク でした。
┌─────────────────┐
│ 社内版 R│
├────────┬────────┤
│社内版番号 │ │
│ │ │
│ │ │
│ │ │
│ │ │
└────────┴────────┘
社内版に対応する概念として、客先版が存在しています。
客先版は、図面と取引先とのあいだに起こる事態--すなわち、「関係」 のなかで認知される事態--として、前回、以下のように記述されました。
┌─────────────────┐ ┌─────────────────┐
│ 図面 R│ │ 取引先 R│
├────────┬────────┤ ├────────┬────────┤
│図番 │ │ │取引先コード │ │
│ │ │>─○─┼┤ │ │
│ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │
│ │ │ │ │ │ │
└────────┴────────┘ │ └────────┴────────┘
│
│
┌───────────┴───────────┐
│ 図面. 取引先. 対照表 │
├───────────┬───────────┤
│取引先コード(R) │客先版 │
│図番(R) │ │
│ │ │
└───────────┴───────────┘
客先版と社内版との対応関係は、以下の真理値表として示されます。
(1) {T, T}.
(2) {T, F}.
(3) {F, T}.
(4) {F, F}.
(1) および (3) が、「中沢家」 で起こる事態です。(1) は、客先版と社内版が共に成立して、かつ、客先版が変更されたら、社内版も 「1-対-1」 対応を実現するように変更されることを示しています。(3) は、「内作」 を意味しています。すなわち、自作なので社内版は存在するが、社内版に対応する客先版は存在しないという事態です。
そこで、(1) の事態および (3) の事態を記述するように、社内版を 「構造」 のなかで示さなければならない。「構造」 は、「個体」 および 「関係」 で示されます。したがって、社内版を記述するために、「最低限で」、 以下の 3つの記述を考えることができます。
(1) 「個体」 --たとえば、「図面」-- の性質として考える。
(2) 「関係」 のなかで--すなわち、バージョン 管理として--考える。
(2)-1. 社内版を主として、客先版を従として考える。
(2)-2. 社内版を従として、客先版を主として考える。
ほかにも 「構造」 を考えることができるのですが、まずは、とりあえず、以上の 3つの 「構造」 を記述しましょう。これら 3つの 「構造」 の作成を宿題としました。
以上の検討の道筋は、tm-net に アップロード されている講義録を参照して下さい。