「TMの会」 プログラム このウインドウを閉じる
/ 2007年 3月28日 / 

 

 「中沢家」 の TMD (TM Diagram) を、前回からひき続いて、推敲しました。

 
 まず、「semantic proofreading」 の手続きに関して、以下を まとめました。

    (1) event を読む (「正常事業循環」 を把握する)。

     (1)-1. event の 「並び」 を検討する。

     (1)-2. event どうしの 「対応性」 を検討する。

    (2) resource を読む。

     (2)-1. 家族的類似性のつよい概念を検討する。

     (2)-2. resource どうしの 「相性 (対)」 を検討する。

 
 次に、「T字形」 の記法に関して、以下を確認しました。

                    定義
                ┌────────┐
                │        ↓
            ┌───┴─────────────┐
            │       entity       │
            ├────────┬────────┤
            │認知番号(主語)│述語(性質)  │
            │        │        │
            │        │        │
            │        │        │
            │        │        │
            └────────┴────┬───┘
                 ↑        │
                 └────────┘
                     生成

 すなわち、「T字形」 の記法は、以下の 2つの見かたができます。

  (1) 認知番号を付与されて認知された entity の定義が右側に記述される。
    (しかじかの entity は、かくかくの性質をもつ。)

  (2) 右側 (述語) を f (x) と考えて、それらの性質から entity を集合論的に生成する。
    (かくかくの性質が充足されたら、しかじかの entity を認知できる。)

 したがって、「T字形」 では、原則として、右側が ブランク になっている事態を嫌います。
 というのは、entity を定立できないから。

 今回、「社内版」 が resource として示されていました。そして、性質は ブランク でした。

            ┌─────────────────┐
            │       社内版      R│
            ├────────┬────────┤
            │社内版番号   │        │
            │        │        │
            │        │        │
            │        │        │
            │        │        │
            └────────┴────────┘

 
 社内版に対応する概念として、客先版が存在しています。
 客先版は、図面と取引先とのあいだに起こる事態--すなわち、「関係」 のなかで認知される事態--として、前回、以下のように記述されました。

 ┌─────────────────┐     ┌─────────────────┐
 │       図面       R│     │       取引先      R│
 ├────────┬────────┤     ├────────┬────────┤
 │図番      │        │     │取引先コード  │        │
 │        │        │>─○─┼┤        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │        │        │
 │        │        │  │  │         │        │
 └────────┴────────┘  │  └────────┴────────┘
                      │
                      │
          ┌───────────┴───────────┐
          │       図面. 取引先. 対照表      │
          ├───────────┬───────────┤
          │取引先コード(R)  │客先版        │
          │図番(R)      │           │
          │           │           │
          └───────────┴───────────┘

 
 客先版と社内版との対応関係は、以下の真理値表として示されます。

  (1) {T, T}.
  (2) {T, F}.
  (3) {F, T}.
  (4) {F, F}.

 (1) および (3) が、「中沢家」 で起こる事態です。(1) は、客先版と社内版が共に成立して、かつ、客先版が変更されたら、社内版も 「1-対-1」 対応を実現するように変更されることを示しています。(3) は、「内作」 を意味しています。すなわち、自作なので社内版は存在するが、社内版に対応する客先版は存在しないという事態です。

 そこで、(1) の事態および (3) の事態を記述するように、社内版を 「構造」 のなかで示さなければならない。「構造」 は、「個体」 および 「関係」 で示されます。したがって、社内版を記述するために、「最低限で」、 以下の 3つの記述を考えることができます。

  (1) 「個体」 --たとえば、「図面」-- の性質として考える。
  (2) 「関係」 のなかで--すなわち、バージョン 管理として--考える。
    (2)-1. 社内版を主として、客先版を従として考える。
    (2)-2. 社内版を従として、客先版を主として考える。

 ほかにも 「構造」 を考えることができるのですが、まずは、とりあえず、以上の 3つの 「構造」 を記述しましょう。これら 3つの 「構造」 の作成を宿題としました。

 
 以上の検討の道筋は、tm-net に アップロード されている講義録を参照して下さい。

 

ページのトップ
 
  このウインドウを閉じる