● 「外延 (セット)」 と 「概念 f (x)」
前回、「外延 (セット)」 と 「概念 f (x)」 に関して、以下の点を 「宿題」 にしました。
(1) 「取引先」、「支払先」 および 「支払受」 は、それぞれ、事業過程・管理過程のなか
で、「関係・役割」──「集合的性質」──を示すように、個体指示子を付与されている。
[ P1 (x), P2 (x) および P3 (x) ].
(2) それぞれの性質・役割 (P1, P2 および P3) を除去して、「すっぴんの」 個体に還元
して考える。
(3) 「すっぴんの」 個体に対して、「取次 (委託)」・「支払」 の観点に立って、改めて
再体系化する (コード 化を考える)。 [ この再体系化を 「宿題」 にしました。]
● 「得意先」 と 「取引先」
今回、以下の 3つの案が提示されました。
(1) 「取引先」 に対して 「対照表」 を用意する
(いまの コード 是認)
(2) 「得意先」「入金先」 を サブセット 化する。
(3) 「得意先」 に対して、(得意先種別 コード を新たに追記して、) 「対照表」 を用意する
(新 コード の導入)
「モデ家」 の TMD では、「内外」 が改善案の眼目です。
案 (1) は、現行の コード を是認して、「取引先」 に対して、「L-真」 を示す 「対照表」 を構成して、「取引先」 を 「得意先」 「入金先」 および 「支払受」 と対応しようとしたのですが、「内外」 の対応が明らかではない。
案 (2) は、「内外」 に対応するために、「強引に」 「取引先」 を サブセット 化しています──「強引」 という意味は、「文法違反」 という意味で、サブセット になるための要件を満たしていないにもかかわらず、サブセット を作っている、ということです。
案 (3) は、非常に巧みな対応をしたのですが、「内外」 という コード を 「resource」 としているいっぽうで、サブセット の要件としても併用しているので、「文法違反」 です──「巧み」 という意味は、数学の 「有限数論の対応法」──ゲーデル 氏が 「不完全性定理」 を証明するときに使った やりかた に似た着想──を使っているということです。案 (3) は、「得意先」 を 「並べて」、「取引先」 を 「内外」 に分割・細分して 「得意先」 に対応させようとした やりかた です。この やりかた は、解析対象になっている事業過程・管理過程の問題点を知り尽くしていなければ思い浮かばないでしょうね (笑)。
● 「概念 f (x)」 と 「構成 f (x, y)」
「集合」 とは、数学では、物を単に集めただけではなくて、メンバー を 「並べる」 ことが要件になっています。
案 (3) が 「有限数論の対応法」 に似た やりかた を使っていたので、「特徴関数、部分的関数 (原始帰納的関数)、外点、閉包」 という数学概念を説明しました。そして、「並べる (帰納的)」 ことが 「構成する」 ことの原点であることを示しました──ちなみに、TM の 「event と resource」 概念は、数学の 「特徴関数」 を前提にして作られていることも説明しました。
そして、TMD を読むときには、「箱 (entity) ではなくて、線 (relationship) を観る」 ことが 「『意味』 を理解する」 ための コツ であることを注意しました。「概念」 そのものを検討するのではなくて、「『構成』 (文脈) のなかで 『意味』 を理解する」 ことを注意しました。
以上の検討の道筋は、tm-net に アップロード されている講義録を参照して下さい。
さて、次回まで、案 (3) を工夫して、「内外」 を考慮して、「取引先」 と 「得意先」 を対応する 「構成」 を考えてみて下さい。
[ 追伸 ]
「TMの会」 を早めに終えて (20:50頃に終えて)、会員どうしで クリスマス・プレゼント (値段 500円の品物) の交換会をやりました。さらに、「TMの会」 の会員から小生に対して、プレゼント をいただきました。例年、年末に、会員の皆さんから プレゼント をいただいていて、恐縮しています。皆さんの お心づかいを感謝しています。