「TMの会」 プログラム このウインドウを閉じる
/ 2008年 3月27日 / 

 

 ● TM の検討事項 (言語哲学の観点から)

 モデル (モデル としての TM) の妥当性を検証するためには、「数学基礎論」 「言語哲学」 の重立った説を学習して、それらの説に照らして、構文論・意味論を検討しなければならないのですが、学習する説は、以下の系統に まとめることができるでしょう。

 (1) フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタイン
 (2) レーヴェンハイム、スコーレム、ゲーデル、チューリング
 (3) タルスキー、カルナップ、クリプキ
 (4) ヘンペル、ポパー
 (5) チョムスキー、モンタギュー
 (6) クワイン、ダメット、ストローソン、デイヴィドソン

 TM は、いままで、「数学基礎論」 の観点から検討を続けてきましたが──上記の リスト で言えば、(1) から (4) の人たちの説を参照して検討してきましたが──、いよいよ、「言語哲学」 の観点から検討をはじめます──上記の リスト で言えば、(5) および (6)。

 TM が ウィトゲンシュタイン の哲学を底辺にしていることを鑑みれば、「言語哲学」 では、デイヴィドソン を底本とするでしょうね。チョムスキー と モンタギュー は 「一般文法 (普遍文法)」 を示したので、(殊に、モンタギューは) コンピュータ の モデル を作るのためには学習しなければならないのですが──私は、モンタギュー 文法を 「コンピュータ ソフトウェア 事典」 で学習したのであって、原文を丁寧に読んだ訳ではないのですが──、私の学習目的は、「モデル の正当化条件」 のほうに向かっているので、デイヴィドソン を丁寧に学習するつもりです。
 いっぽうで、チューリング の論文 (原文) を すべて──できるかぎり多く──入手して、丁寧に学習するつもりです。チューリング・マシーン も、私は、「数学基礎論」 の書物で記述されている説を学習したのであって、チューリング の原論文を読んだ訳ではないので、今後、「認知科学」 の観点から、チューリング の原論文を読み込んでみようと思っています。

 ちなみに、TM は、ウィトゲンシュタイン の哲学を底辺にしながらも、上記の リスト に記載した人たちの説を参考にしています──これらの説に関しては、すべて、原文 (ただし、翻訳文) を丁寧に読んできました。タルスキー の 「真理条件」、カルナップ の 「L-真、F-真」、ヘンペル の 「経験論的な言語 L 」、ポパー の 「第三世界の自立性、第三世界と第一世界の相互作用」 などが TM のなかに流用されています。ウィトゲンシュタイン は、タルスキー の説を認めていなかったのですが、「theory of meaning」 として、「意味」 の代わりに 「真」 概念を (タルスキー の 「真理条件」 を) 使ったのが、デイヴィドソン です。TM は、「構成」 を作る手続きとして、「合意 → L-真 → F-真」 をとっているので、「L-真 → F-真」 の プロセス を検討するために、デイヴィドソン の説が役立つかもしれないと推測しています。

 
 ● モデ 家の TMD レビュー

 「商品構成」 (「書名」 と 「雑誌」) を検討しました。
 「商品構成」 に関して、ふたつの案が示されていました (A 案と B 案とします)。

 私 (佐藤正美) は、A 案と B 案を対比した時点で、直ぐに、「商品構成」 の問題点を直知したのですが──したがって、「TMの会」 の会員たちも、そういうふうな ちから を体得してほしいので──、「どのように問題点を定立するか」 という手続きを説明しました。「問題点の定立法」 は、「resource に限って言えば」、以下のような手続きとなります。

 (1) 枝葉を切り落とせ (たとえば、VE を無視せよ)
 (2) サブセット の階数・次数を対比せよ
 (3) 家族的類似性の強い resource の関係を検討せよ

 (2) では、A 案の階数が 3、B 案の階数が 4 です。B 案の サブセット 構成は、A 案の サブセット 構成をふくんで、さらに、ひとつサブセット が多かった。B 案が A 案に比べて、ひとつ多い サブセットは、「商品年月」 を null にした構成でした。この時点で、「商品年月」 が、ひとつの争点になっていることが明らかでしょう。

 次に、(3) では、「書名」 の サブセット のなかに 「雑誌」 がふくまれているにもかかわらず、「雑誌」 は、いっぽうで、べつの 「resource」 として認知されています。この時点で、「商品年月」 と 「商品区分 コード (書名、用品、雑誌)」 が、ひとつの争点になっていることが明らかになりました。そこで、「書名」 と 「雑誌」 の関係を検討しました──「書名」 は、「雑誌」 をふくんで、さらに、ひろがっている、という構成であることが明らかになりました。

 (2) と (3) を検討したら、「(商品の) 年月」 が アキレス 腱になっていることがわかったので、(モデ さんに エンドユーザ を演じてもらって、) モデ さんに以下の質問をしました。

    「TMD 上、『(商品の) 年月』 が問題点として浮き彫りになっているのですが、どうしてかしら」

 ユーザ によれば (モデ さんに演じてもらいましたが)、「月刊 (誌)」 という概念が 「基底」 になっていて、「雑誌」 は、「月刊」 を基本形にして組まれているので、季刊などが組みにくい状態になっているとのこと。さらに、「書名」 および 「雑誌」 に対しては、ISBN が付与されているので──ただし、¬∀ x という状態です──、商品の管理 (あるいは、商品の構成) が錯綜している状態であるとのこと。それらの概念を、ベン・オイラー 図にして まとめました (tm-net に アップロード されている図を参照してください)。

 それらの概念 (書名、用品、雑誌、ISBN) を検討して、以下のように再構成しました。

 (1) ISBN を 「書名」 から外す。
 (2) 書名 (書籍、用品、雑誌) を サブセット とする。
 (3) 書名 コード および 雑誌 コード は、外的影響を排除する。

 
 この ソリューション は、商品の構成・管理を的確に実施できるようになるのですが、おおきな変更点をふくんでいるので、モデ さんには、以下の点を 「宿題」 としました──ちなみに、前回 検討した 「得意先」 概念の再構成と、今回 検討した 「商品」 概念の再構成を組にすれば、そうとうに柔軟な (環境適応力のある) 競争戦略を立てることのできる状態になるでしょうね。

    「これらの ソリューション に対して エンドユーザ が快諾できるような 『システム 理念』 を考える」

 そして、「土勉会」 の 会員たちには、以下を宿題としました。

    「以上の検討を前提にして、『書名』 および 『雑誌』 を再構成する」

 
 以上の検討事項の詳細は、tm-net に アップロード された講義録 (板書の写真) を参照してください。

 

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