「モデ家の TMD」 のなかの 「海外版」 を レビュー しました。
「モデ家の TMD」 を レビュー する前に、TML の考えかた (「真」 概念) を説明しました。
● TML に関する いくつかの説明事項
(1) 「真」 概念
(1)-1 Tarski A. の 「規約 T」
文 「雪が白い」 が真であるのは、雪が白いとき、そのときに限る。
(1)-2 Davidson R. の 「T-文」
言明 p が真であるのは、時刻 t において、事態 q と対応するとき、そのときに限る。
Tarski の規約 T は、自然言語を 「対象言語」 とすれば、対象言語に対する 「メタ 言語」 として クラス 算のような人工言語を用意して、(対象言語のなかにふくまれている) 「真」 概念を明らかにしました。Tarski の規約 T は、ロジック では、「真理条件」 とよばれています。Tarski の考えかたを参考にして、「L-真」 概念・「F-真」 概念を導入して、座標言語として、いくつかの言語を構成した人物が Carnap です。
Davidson は、Tarski の考えかたを自然言語に適用できるように拡張しました。そして、TML は、Carnap の 「真」 概念を使って、Davidson の T-文と同じ考えかたを 「真理条件」 として使っています──「対照表」 を考えてみてください。
(2) 関係主義と実体主義
関係主義と実体主義とのあいだでは、「関係」 を定式として記述するときに、「階」 の ズレ が生じます。
(2)-1 関係主義 R { s1 ∈ X1, s2 ∈ X2,・・・ sn ∈ Xn ∧ P (s1, s2,・・・, sn) }.
関係主義では、関係を一次的とみなすので、tuple 上、それぞれの個体 (s1, s2,・・・, sn) は、主体であろうが事態であろうが個体として扱われます──ちなみに、個体を entity とよぶのであれば、主体は 「主体型 entity」 をよばれ、事態は 「関連型 entity」 とよばれます。
もし、データ 項目の セット を前提にして tuple を構成して、tuple を 「個体」 として 「F-真」 を実現すれば──この やりかた が コッド 関係 モデル の やりかた ですが──、個体間の 「関係」 は、次の いずれかの やりかた で演算することになります。
(2)-1-1 集合間の包摂関係
(2)-1-2 第二階の文法
(2)-2 実体主義 R { s1, s2 }.
実体主義では、個体を一次的とみなすので、関係は個体のあいだに成立すると考えます。
したがって、2項関係では、s1 と s2 との関係 R が事態を言及します──言い換えれば、2項関係が 3項態 [ ふたつの集合を元にして、ひとつの集合の存在を考えることができる、ということ ] になります──「対照表」 を考えてみてください。
TML は、「合意」 → 「L-真」 → 「F-真」 という手続きで構成されています。最初の段階で、「合意」 された認知を前提にして個体を定立して、それらの個体に対して関係文法を適用しますが、関係文法上、「event-対-resource」 では、(上述した 「関係主義と実体主義とのあいだの ズレ」 を除去できるようにするために、) 「event」 のなかに 「resource」 が侵入するという演算を適用しています──すなわち、「event」 は個体であっても、関係 R としての性質を継承しているとみなして、「L-真」 を崩さないように配慮しています。
そして、(「L-真」 を実現したら、) 「F-真」 は、前述した Davidson の 「真理条件」 を使っています。
● 「同型」
前回まで検討した 「resource」 構成を前提にして、「event」 構成を レビュー しようと思っていたのですが、「resource」 のなかで、いままで レビュー していなかった 「海外版」 があることに気づいたので、「海外版」 を レビュー しました。
「海外版」 の構成そのものは、小さい構成なので、それ自体を検討することは難しいことではないのですが、モデル として、とても大切な視点を示している興味深い構成でした。というのは、「海外版」 の構成そのものを観ても、「海外版」 の構成が (事業過程・管理過程において、) legitimate かどうか を判断できないから。
「海外版」 の構成のなかで、「フィルム・データ 区分 コード」 に対して、null が適用されていました。区分 コード に対して null を適用することは、「文法違反」 に近い──「海外版」 の 「構成」 を観て、null を適用した理由は、重々、(私には、意味論上、) 推測できるのですが、(区分 コード に対して null を適用すれば、) セット 上、「分割 (division) と細分 (refinement)」 [ あるいは、次数と階数 ] の規則 (L-真) を崩してしまいます。
そして、この点 (区分 コード に対して null を適用したこと) を掴んで、以下の 2 点を確認すれば、ほかの 「構成」 を考えることができるでしょう。
(1) ほかの entity との関係 (ここでは、対照表 群)
(2) みなし entity
すなわち、「海外版」 は、「雑誌号」 「用品」 および 「書籍」 に対して、それぞれ、関係があって──対照表が構成されていて──、かつ、ISBN・ISSN を 「みなし entity」 としていました。
「海外版」 は、前回まで検討した 「resource」 構成と 「対応する」 ような関係を示しています──すなわち、この関係 (対照表) は、「L-真」 だけれど、「F-真」 ではないので、 「雑誌号」 「用品」 「書籍」 という 「resource」 群と 「海外版」 とのあいだに成立する 「写像」 関係を示しています。したがって、R { M1, M2 } を考えれば、「海外版」 は、前回まで検討した 「resource」 群 (M1) と 「同型」 になるのではないか──「resource」 群の サブセット になるのではないか [ たとえば、「海外版」 は、それらの 「resource」 のなかで、ひとつの 「形態」 なのではないか ]──ということが推測されます。
「海外版」 を サブセット として構成することを 「土勉会」 の宿題にしました。
● まとめ
前回、以下の まとめ を綴りました。
(1) TMD では、「意味」 を読み取る際、まず、箱ではなくて、線を追跡しなさい。
(2) 今回の例のような量なら、3 分あるいは 5 分以内に、全体構成の特徴を把握しなさい。
(3) ふたつの セット のあいだの関係を検討するには、包摂関係・写像関係を考えなさい。
(4) 証明木 (tree、TMD) の頂点 (leaf) になっている対照表の 「意味」 を確認しなさい。
(5) 証明木のなかで、線を追跡しながら、それぞれの箱の 「意味」 を確認しなさい。
(この やりかた が、エンドユーザ に対する問診になっています。)
さて、今回、これらの まとめ が [ (2) を除いて ] すべて適用される例でした。
というのは、「線」 を追跡して、対照表の 「意味」 を考えて、写像関係を考えれば、「海外版」 に対して、ほかの 「構成」 を作ることができる、ということを推測できます。